他社類似ファンドの状況を見て引き下げを決めたとのことですが、取り敢えず今回は他社ファンドとの比較ではなく、老舗(?)の新興国インデックス投信から乗換えに値するかという観点で書いてみます。
2017年に新興国インデックス投信の信託報酬が税抜きで0.2%を切ってくると誰が予想できたでしょうか?
私は常々新興国の信託報酬は先進国に比べまだ大きな値下げ余地があると言ってきましたが、今後はもう下げる余地が極めて小さいと思います。
先進国と変わらないレベルまで信託報酬を下げて採算が取れるのかと逆に心配になりますが、簡単には取れないんでしょうね。(笑)
次々と新たなファンドが出て既存も対抗で値下げしたりとなかなか最安ファンドに乗り換えるタイミングも難しいと思いますが、ここまで下がって来ると検討に値します。
特に新興国インデックスは信託財産留保額0.3%が設定されているファンドが多いので、安易な乗換えは逆にコスト高になりかねません。
年末までに損益相殺の状況を見ながら新興国ファンドの旧から新への乗り換えを行うのも良いかも知れません。
老舗と言っては失礼かも知れないが、かつて一世を風靡した(?)SMTとかFunds-iとかeMAXIS (fat?)等の新興国インデックスは信託報酬0.6%(税抜)で設定されています。
リターンを同一と仮定しその他コストを考慮しない場合に信託財産留保額を払ってもeMAXIS Slimに乗り換えて何年後からコストダウンになるのでしょうか?
0.6% x 1.08 x T > 0.19% x 1.08 x T +0.3%
0.4428% x T > 0.3%
T > 0.6775年(=8.13ヵ月)
ということで、乗り換えて8ヵ月と少しで信託財産留保額は元が取れて以降はコストが下がります。
まあ1年間ホールドするなら乗り換えても損はしません。ここまで信託報酬が下がったからこそですね。
以上で「損益調整次第でどんどん乗り換えましょう」でいいのですが、SBI証券でマイレージポイントを貰ってる人は若干計算式が異なるので補足。
新興国インデックスはポイントが通常の0.1%貰える美味しいレベルに信託報酬が設定されていました。
eMAXIS Slimも信託報酬0.339%でもポイント0.1%付いたのですが、さすがに今回の値下げでそれは無理がある。楽天バンガードのように0.03%付与されるかも知れないが試算なので厳しめにポイント対象外で考えます。
<平均保有額が1千万円以下(ポイント0.1%)の場合>
(0.4428% - 0.1%)x T > 留保額0.3%
T > 0.8751年(=10.50ヵ月)
<平均保有額が1千万円以上(ポイント0.2%)の場合>
(0.4428% - 0.2%)x T > 留保額0.3%
T > 1.3465年(=16.16ヵ月)
まあ、それでも1年前後で元は取れますね。
現状信託報酬0.34%前後のファンドは対抗値下げするかも知れないし、乗り換えても元を取るのに何年も掛かるので、また新たな動きを眺めながら様子見でいいと思います。
守りに入って値下げ競争に背を向けている老舗ファンドには忠誠尽くす必要もなく、fatからslimへスッキリと乗り換えも検討しましょう!
