2024年11月29日

iDeCoの拠出額上限を月20万円に拡大ってめっちゃ高所得者優遇制度で誰トクなのか?

岸田前首相が会長を務める「資産運用立国を進める議員連盟」は26日、「iDeCo(イデコ)」など確定拠出年金の大幅拡充などを求めた緊急提言を石破茂首相に提出したとのこと。
岸田氏は石破総理から「取り組みの重要性に理解を頂く言葉をもらった」とのことですが、この提言が全て受け入れられるかはまだ不明です。
提言内容はとても大胆で、自営業など第1号被保険者の拠出額上限を現在の月6万8000円から同20万円に、会社員でDCを併用する場合は現在の月5万5000円から同10万円に引き上げることを求めています。

この確かに大胆なiDeCo拡充策を国民は大喜びするのでしょうか?
まだ具体的なこと(NISAのように生涯投資枠とか設定されないとあまりにも優遇がデカいよね)もそのまま通るかもわからないので、その前提でザックリとした話をします。
NISAとは異なりiDeCoで最大年240万円に拡大されるからと言って、所得(+貯蓄)から目一杯使おうと枠を埋めに行っても結果損失となる人多数だと思います。

これとは別に退職金税制の見直しも議論され、20年を越えても控除額が40万円に据え置きとなる可能性もあるので、その前提で考えます。
iDeCoを完全非課税で受け取りたいなら一時金として退職金控除の枠内に収めることを考えるべき。

つまり、10年から30年運用した結果各年掛金の運用後評価額が平均年40万円に収まる必要がある。(ちょっと回りくどいっすね。)
毎年の掛金を老後まで太らせた後に年平均40万円に収まらないと課税の可能性があるので、複利試算もせずに超ザックリで言えば月ごとの掛金は2万円(年24万円)から3万円(36万円)程度に収める必要があります。
(3万円なら4万円以上に太って欲しくて運用している筈であり、何十年で倍増は普通に起こるので実際は1万から1万5千円かも?)

(退職金控除を使える)万人にとってメリットのあるiDeCoの掛金はこの程度です。
これを越えた分は退職金として課税後所得を受け取るか、年金として分割して受け取る訳ですが、多くの人にとって公的年金控除額は一階と二階部分の年金で使い切られているので、そこに上乗せで受給となるiDeCo受け取り分は課税対象と考えた方が良いと思います。

老後でも累進課税なので現役時に年間240万円掛けて太らせて(通常年金に加えて)年間300から400万円を上乗せで受け取っても自縄自縛の高所得者老人化で課税率アップも招いて現役時の税率に近づいて行きます。

さて、iDeCoの掛金上限月20万円まで拡大は一体誰トクなんでしょうか?
NISAと同じ発想で、収入からは回せないけど資産はあるから月20万円埋めてしまえなんてやると自ら罰ゲームに飛び込む愚かさで大損をこきかねません。

確実に得なのは地方含めて税率55%の最上位層の方々ですね。
iDeCoに月20万円(年間240万円)拠出することで月11万円(年間132万円)もの減税となり、老後の税率はさすがに55%から下がるでしょうから課税されてもメリットが上回ります。

この拡充策ならiDeCoはもう「高所得者優遇制度」にわかりやすく名称変更してはどうでしょうか?
日本の財政を太く支えている方々への優遇策があっても良いとは思いますが、なんせ政府のやることは支離滅裂で矛盾だらけなので。
その一方で、石破さんは特定口座の税率を特に高所得者層でアップすることを言い出したり、今話題の基礎控除引き上げもいかに高所得者層への適用は減らすかと策を講じて税収確保を目論んでいる訳です。

それならiDeCoの掛金月20万円なんて年間103万円の壁を気にしている庶民には雲の上の無関係な話であり、結論は明らかな金持ち優遇策であり拡大論外となりそうなものの、あまり仕組みがわかってない人達が意思決定していることもありiDeCoだから正義みたいな幼稚な思考停止でそれなりに掛金引き上げは通るのでしょうね。

また別途iDeCoの損得は掘り下げてみたいと思いますが、自分にトクだからと安易に他人に(生半可にしかわかってない人が全くわかってない人に)iDeCoは絶対に勧めない方が良いですね。
制度にトラップが多すぎるし、多くの人にとって適正掛金が月2万円程度なら手を出さずに無視しておくのが無難かも知れません。
iDeCoに月20万円なら万人にとって少なくとも受領時の課税は免れないことは理解すべきで、「飛んで火に入る夏の虫」が拡大の狙いかも知れないし!?
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posted by 韋駄天太助 at 11:27 | Comment(0) | TrackBack(0) | 全般共通 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年11月22日

auカブコム証券が「三菱UFJ eスマート証券」に改称して三菱UFJ銀行100%子会社に!

auカブコム証券が2025年1月末で三菱UFJ銀行の100%子会社となり、2月に「三菱UFJ eスマート証券」に改称する(予定)と発表しました。
KDDIとMUFGがネット銀行(auじぶん銀行)とネット証券(auカブコム)を互いに出資し合って持ち合っていた訳ですが、KDDIがauじぶん銀行を100%子会社、MUFGがauカブコムを100%子会社にすることで両グループが手を握ったようです。

引き続きKDDIグループ傘下でau経済圏と連携させるauじ銀はさておき、三菱UFJ銀行の完全子会社となるauカブコムには今後のより良い展開があまり想像できません。
出資関係がなくなっても「両社グループが新たに締結する業務提携契約に基づき、今後もau経済圏におけるネット証券の役割を担い続け、諸プログラムで従来と同じサービス・機能を提供します」と言ってはいますが、当面は大丈夫でも5年先10年先も提携契約が続いているかはわかりませんね。

新たな三菱UFJ eスマート証券は「MUFGの中核ネット証券として、MUFG顧客基盤との結びつきを抜本的に強化し、その機能を縦横に発揮することで、業界における確固たるポジションの獲得を目指します」とのことですが、現状では具体的に何がどう変わるのかサッパリ(笑)。

基本的に低コストでの勝負が求められるネット証券と大手メガバンクは水と油でそれが100%の親と子になることに期待感は抱けません。
SBIや楽天が更なる低コスト競争を仕掛けて来た時に「三菱UFJ eスマート証券」の親会社である三菱UFJ銀行やそこから出向して来た(気位だけは高いであろう)社長や役員達がどんなスピード感でどんな意思決定をするのでしょうか?

穿った見方をすれば、大手ネット証券の中における競争で脱落気味のauカブコムを撤収救済するために大銀行の100%子会社化を決めた?
天下のMUFG100%ですから低コスト競争から距離を置き、「三菱」のライバルではないSBIや楽天みたいな安売りブローカーとのシェア争いもせずパイの拡大も諦めて、MUFGのコア顧客(だけ)を対象にした安売りしないネット証券に再生する可能性。
eスマート証券で少々の赤字を垂れ流しても三菱UFJ銀行の顧客になんらか貢献してくれれば連結ベースでのMUFG利益には何の影響もなく今後も存続させられると?

以前のカブコムは入出金サービスでも三菱UFJ以外は扱わなかったり有料だったりと排他的な扱いをしてその傾向がありましたが、auの出資がなくなって悪い意味で先祖帰りする懸念もあります。

ということで、auカブコムの三菱UFJ銀行100%子会社化に期待感はありませんし、KDDIとの提携もいつまで維持されるのか不明ですが、auじぶん銀行もauカブコム証券も一応ユーザーなので今後もしかしたら良い方向に向かうかも知れないと見守るしかありませんね!?
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posted by 韋駄天太助 at 10:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | 全般共通 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年11月15日

「グローバルX 半導体・トップ10-日本株式ETF」がなんと信託報酬0.11%で東証上場!

グローバルX 半導体・トップ10-日本株式ETF(282A)が11月21日に東証上場します!
日本の代表的な半導体関連10銘柄によって構成される「Mirae Asset Japan Semiconductor Top 10 Index」に連動するETFです。

✓ 1日平均取引代金が1億円以上
✓ 時価総額が10億円以上
✓ 半導体関連事業の売上高が、企業全体の売上高に対して20%以上
を満たす時価総額上位10銘柄が組み入れられますが、日経平均株価も引っ張るような名前は聞いたことのある銘柄が並びますね。

このETFで特筆すべきことは低廉な信託報酬で税込0.11%!
グルーバルXは基本競合しないようなETFを出して低信託報酬は設定せずに稼ぐ方針です!?
このETFに似た銘柄で「グローバルX 半導体関連-日本株式 ETF」も出していますが、こちらの信託報酬はなんと税込0.649%です。
こちらは少し異なる選定基準で30から40銘柄を組み込みますが、上位10銘柄はとても似通ってます。

7月に日経半導体指数(30銘柄)に連動するETFが最安税込0.154%で登場しているので、銘柄数もほぼ同等で資産残高500億円を越えている「半導体関連-日本株式 ETF」は値下げせずに、今回出す「半導体・トップ10-日本株式ETF」で日経半導体指数連動ETF3本に対抗する狙いがあると思われます。
銘柄数が少ないほどコストも減少するはずであり、日経ブランドの半導体指数に対して(海の物とも山の物ともつかない!?)Mirae Asset指数ではより低コストを打ち出さないと立ち打ち出来ないとの判断でしょう。

グローバルXが低信託報酬で勝負するレア物のETFです!

でも、10銘柄程度なら信託報酬ゼロでSBI楽天なら手数料無料の個別株を自分で買えばええやんって思うやん?
ところがどっこい、半導体関連銘柄は値嵩株が多いので個人投資家にとって簡単ではありません。

【1位】アドバンテスト   91万円=9118円x100株
【2位】東京エレクトロン 220万円=22010円x100株
【5位】ディスコ     403万円=40300円x100株
【6位】レーザーテック  178万円=17835円x100株
※株価は11月14日終値ベース

上位10銘柄のうち、この4銘柄を1単元買うだけでも800万円以上の資金が必要となり、時価総額比や自分の好みの比率で組み入れるなら何千万円の資金が必要になります。
それを上位10銘柄10%前後の比率で代わりに買ってくれるのであればメリットが大きく信託報酬0.11%は全然高くないと見ることも出来ますね。

グローバルXなのでおそらく数千円の単位で282Aを買い入れできると思います。
30銘柄に分散させたいなら日経半導体指数連動ETFで良いと思います。

282Aはおそらく今後も大きく顔ぶれは変わらないであろう日本の半導体上位10銘柄に期待と信頼があって、資金的に自分で買い集めるのは厳しいので10個別株を信託報酬0.11%で数千円単位から代わりに買ってもらうというイメージで使うのが良いかも知れませんね。
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posted by 韋駄天太助 at 12:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | 全般共通 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年11月08日

トランプ当選でリアクションは世界的リスクオンではなく米国だけ利するMAGA信仰!?

11月6日の米国大統領選挙でトランプが勝利しました。
選挙前からマーケットはトランプ勝利を織り込み始めましたが世論調査では拮抗していたので、東京時間で開票が進んでトランプ有利がよりハッキリ見えるごとに日経平均は上値を追う展開となりました。

トランプが勝利宣言を行ったのは日本時間16時半頃ですが、日経平均の終値にはトランプ勝利が完全に織り込まれていたと見て良さそうで、同様に6日の各国株価指数終値にもトランプ当選に対する初動としてのリアクションは織り込まれたと見て良さそうです。

では、トランプ勝利は世界のマーケットにリスクオンをもたらしたのでしょうか?
11月6日と7日の世界主要株価指数騰落率を比較してみます。

          6日   7日
NYダウ      +3.6% ▲0.0%
S&P500      +2.5% +0.7%
ナスダック     +3.0% +1.5%
日経平均      +2.6% ▲0.2%
ドイツDAX     ▲1.1% +1.7%
英国FTSE100    ▲0.1% ▲0.3%
香港ハンセン    ▲2.2% +2.0%
上海総合      ▲0.1% +2.5%
インドSENSEX   +1.1% ▲1.0%
ブラジル・ボベスパ ▲0.2% ▲0.5%

7日のNYダウは横這いだったもののS&P500とナスダックは続伸して、2営業日連続で囃して浮かれてトランプお祭り騒ぎをしているのは米国だけですね。
2営業日の合計なら日経平均の騰落率が米国に続きますが、その他の国々はトランプ当選を歓迎して上昇した形跡は見えません。

もちろん各国の株価指数には日々の国内要因も反映されるので一概には言えませんが、特に6日の騰落は米国(+日本)にトランプラリー、欧州・中国・他新興国にはトランプショックで嫌気下げが明らかに反映されていると思われます。
香港ハンセンも取引時間中にリアルタイムで米大統領選結果が織り込まれた筈であり、対中60%関税を掲げ米中摩擦が大きくなることを嫌気しての2%超下落はさもありなんですね。

では、米国以外で日経平均だけがトランプを歓迎して(株価指数まで思考停止の米国従属かよ!?)上昇したのかと言えばそうではなく、財政懸念による米国長期金利上昇によるドル高により円安が3円も進めば、その円安自体は日本企業の利益上昇をもたらすので機械的に株価指数も上昇したのであり、決してトランプ勝利が日本株を利すると判断した訳ではなく7日には反動で下げています。

6日にリスクオフで下げた国も7日には反動上昇の動きが多いので、決してトランプ当選を大悲観している訳でもなく実際に政策が出て来るまで様子見と言ったところでしょう。
初動として世界は経済面でトランプ米国大統領を全く歓迎していないが、米国だけがイケイケでお祭り騒ぎ!

まさに相場の初動はトランプの熱狂的MAGA信仰者そのもの!?(Make America Great Again!)
トランプが今度米国だけは必ず利する訳でもないと思いますが、さてトランプ大統領が掻き回す今後の世界と米国はどうなりますかね?
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posted by 韋駄天太助 at 10:56 | Comment(0) | TrackBack(0) | 全般共通 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年11月01日

国民民主党公約の基礎控除等178万円に引き上げが自公との政策連携でまさかの実現あり?

先の衆院選では自民党が大敗し自公連立で過半数割れという結果になりました。
今回のテーマではないので感想や意見は控えますが、現野党の協力がなければ法案も通らないということで自民党は政策ごとに連携する考えを示しています。

野党の中では政策的に妥協できそうな国民民主党を取り込むことを考えているようですが、国民民主は年収の壁103万円を178万円に引き上げる公約の実現を肝としています。
年収の壁103万円とは基礎控除48万円と給与所得控除55万円の合計で、『給与』所得が年間103万円以下であれば所得税が発生しないボーダーラインになります。
給与所得控除に変更を加えないとすれば基礎控除を48万円から75万円アップして123万円に上げる必要があり、影響は納税者全てに及ぶ極めて大きな税制変更となります。

自民の林官房長官は国民民主案では国・地方で7.6兆円の税収減となり、かつ高所得者ほど減税の恩恵が大きいとして否定的な見解を示しました。
これに対して国民民主の玉木代表は「(年収の壁引き上げを)全くやらないということであれば我々も協力できません。予算も通らない、法律も通らない。」と自民をけん制して盛り上がって参りました!?

国民民主は基礎控除等の引き上げを一丁目一番地として先ずこれで合意できないなら他全ての予算や政策に協力しないと脅しているので、何らかの着地点を見つけ妥協し合意して基礎控除等が引き上げられる方向性自体は極めて可能性が高いと見て良さそうです。
7.6兆円の税収減でそのまま通る可能性も低いと思われ、基礎控除引き上げ幅の縮小か所得税率や給与所得控除額の見直しをセットして税収減を圧縮して着地点を見出していくのかなと推測します。

林氏が言う通りに基礎控除額の引き上げにより高所得者が一番恩恵を受けるのは当たり前で、そのまま通せば累進課税なので(基礎控除引き上げ額)x(自らに適用されている最大の税率)=(個人の減税額)となるので調整が必要になるでしょうね。
給与所得がなく配当金や株式譲渡所得が収入のメインだとしても、仮に基礎控除が75万円分アップすれば分離課税ベースでその20.315%分が減税となるので、年間15.2万円程の減税効果となるかも知れません。

正直言って国民民主の基礎控除アップで手取りを増やすとか、年収103万円の壁を取り払えばパートやバイトが税金を気にせず働き効果が大きいとか非常に荒っぽく、導き出した単に基礎控除等で178万円に引き上げという設計も稚拙ではあると思いますが、自公連立はこれをたたき台にして揉んで練って受け入れて妥協案を通すしかないでしょう。

万人に及ぶ大きな税制変更になりそうなので、今後も「基礎控除等の引き上げ」議論と意思決定には注目ですね。
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posted by 韋駄天太助 at 10:06 | Comment(0) | TrackBack(0) | 全般共通 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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