【書評】「中国の時代」ジム・ロジャーズ著

中国命のジム・ロジャーズが書いた中国礼賛本です。
 

 
 
だが、何故中国の時代なのかが知りたいと思って買うと物足りないでしょう。
 
そんなことは当たり前で、では具体的にどんな銘柄を選べば良いかという観点で書いてあります。
 
悪く言えば、ジムのポジショントークが満載された本とも言えます!?
 
沢山の銘柄が紹介(氏曰く推奨ではない)されているので、確かに推奨ではないかも知れませんが、ジムの資産なら全部買いを入れていてもおかしくないと思ったり!?
 
2008年6月刊なのでまだ情報は古くないと思いますが、紹介銘柄の説明はごく簡単なものですし、ジムが言う通りここから選んで買えば儲かると思ったら大間違いだと思います。
 
ジムは本の最後にこう書いています。
 


「昨今、中国に関する本を書くと、現代版シシュフォスみたいな気分になる。同じ山に同じ岩を何度も押し上げる罰を与えられたギリシャ神話の登場人物だ。ひとたび書き終えれば、すぐに最初からやり直しだ。」
 
本を書き終える間に中国の状況が目まぐるしく変化するので、書いた内容が古くなってしまって、また書き直したくなると言っています。(勿論書き直していないと思いますけど・・。)
 
従って、大物投資家がどうやって銘柄に目を付けていくかを学ぶという観点で読んだ方が良いと思います。
 
例えば、最初に中国にとって軍事リスクとなりうる台湾との関係を悲観する人には軍事産業のこの銘柄、関係が改善すれば恩恵を受けるのがこの銘柄と2パターンで紹介してます。
 
既に中台関係は当時より遥かに好転しているので、関係改善で恩恵を受ける銘柄の方が良いと思いますが、この程度の知識もなしに紹介銘柄ばかりに見入っていては駄目でしょう。
 
次に水関連企業を紹介していますが、何故中国にとっては水が重要で現在の状況はどうなのかを自分で押さえなければ意味はないでしょう。
 
以下、電力・石油・自動車・道路・鉄道・航空・旅行・農業・食品・医療・保険・建設・ハイテクと様々に紹介しているのですが、決して業種別に全て紹介している訳ではありません。
 
これらの業種は今の中国では旨みがあるとジムは考えているので、それを押さえて自分で情報を更新して銘柄選択の参考にすべきなのだと思います。
 
例えば、銀行は紹介されていませんが、それはジムにとって中国における魅力的ではない業種と考えているからで、それは何故なのかを抑えた方が良いと思います。(鵜呑みにする必要もなし)
 
氏の広く深い知識・見識にユーモア(&相変わらずの毒舌)も交えて書かれているので読みやすいと思います。
 
本を書いたのはまだ2007年の頃だと思いますが、この時点で内需企業に絞っている点は流石だと思いました。
(当時は世界の工場というイメージしか描けない人ばかりだったはず)
 
中国の個別株投資に興味のある方にオススメしますが、大物投資家の業種・銘柄選択の考え方を知りたい方にもオススメします。
 
評価:★★★★☆(星4つ)
 
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