e-taxで住民税還付額は確認できない!
昨年12月に所得税の基礎控除引き上げによる金融課税5%計画を記事にしました。
その中で
「譲渡所得等との組み合わせによっては配当を総合課税で申告して配当控除を取った方の減税が大きくなるケースもあるかなあ」
「迷うならe-taxにぶち込んだ時に総合課税と分離課税のどちらが減税大きいかを見て選ぶのが一番早い」と書いたのですが、令和7年分の国税庁 確定申告書等作成コーナーを使ってみたところ住民税の還付額はどこにも表示されませんでした。
所得税の源泉徴収額と還付税額、住民税の源泉徴収額(配当割額控除額と株式等譲渡所得割額控除額の合計)は確認できますが、住民税還付額がわからなければe-tax上では比較できません。
(=所得税の還付額だけを見て多い方を選ぶのは大間違いの可能性あり!)
よって、住民税の還付額は自分で計算して、所得税の還付額と合計して比較しましょう!
でも、カラクリがわからないと何故配当控除を選択した方がトクになるケースが生じるかもわからないと思うので、今回はこの部分をもう少しだけ掘り下げます。
例によって、専門家ならぬ私の頭の体操と自分の備忘録としてのメモ書きなので責任は持ちません。
(まあこんな枝葉末節まで熟知して答えられる専門家もいないと思いますけどね!?自助努力あるのみ!)
大前提:損益通算不要なら配当を分離課税で申告する意味なし!
まず金融課税5%計画の前に大前提を踏まえます。
源泉徴収済みの配当金をわざわざ分離課税で申告する意味があるのは譲渡所得(含:繰越損失)のマイナスにぶつけて還付を受けるケースだけですね。
配当金の分離課税20%より総合課税の税率が低い場合はその差額が還付になるので基本は総合課税の選択です。
前提:金融課税5%化なら配当も基本は分離課税で申告!
何故なら総合課税を選択すると配当金の住民税率が控除を越えた所から10%課税で始まるので、分離課税選択時の5%課税より減税額(還付額)が小さくなります。
(住民税だけで見ればわざわざ税金をもっと徴収して下さいと申告している訳です!?)
配当控除を最大で考慮しても住民税率は7.8%までしか下がらないので分離課税には勝てません。
配当控除は税額控除なのでゴニョゴニョ!?
ところが、総合課税で申告した場合に配当控除による減税額が住民税の増加額を上回るケースがあり、この場合に限り金融課税5%計画においても配当は総合課税を選択した方が有利になり得ます!
配当控除はザックリ言えば、課税所得1千万円以下の場合で「日本国内に本店のある法人から受ける配当など」を対象に所得税10%、住民税2.8%の税額控除を受けられます。
とても大事なポイントは配当控除が「所得控除」ではなく「税額控除」であること!
ネーミングで騙されそうになりますが(!?)、配当控除って控除すべき配当所得が基礎やその他控除で消えてなくなれば使えず意味がないと誤解していませんか?
(私も最初はそう解釈していました。)
答えはノーです!
「税額控除」は単に所得控除後の所得税や住民税から差し引くだけなので、お金に色は付いてないのと同様で何の所得に対する税金かは問わない、つまり分離課税の譲渡所得に対する税金であっても「配当控除」は差し引けるのです!(これが今回の話の肝です!)
配当を総合課税で配当控除は譲渡所得分から差し引くのが得な場合!
話と計算を簡略化するために配当控除対象の配当金が43万円分あるとして、譲渡所得と合わせて申告する場合に総合課税と分離課税のどちらが減税額(還付額)が大きいかを考えてみます。
簡略化のため他の所得はゼロ、その他控除もゼロとして計算します。
43万円だと住民税の基礎控除内で収まるので、総合でも分離でも配当への課税額はゼロです。
ところが先述の通りに43万円分を総合課税で申告すれば配当控除で所得税4.3万円・住民税1.2万円の税額控除が得られますが、消し込む相手の配当所得(に掛かる税)は基礎控除で消えているので使われずに残ります。
ここで譲渡所得に充てることを考えますが、金融課税5%ゾーンとはつまり所得税率0%ゾーンなので年収の壁内(手前)では所得税が発生せず譲渡所得にも使えません。
そこで譲渡所得の申告額を配当控除分だけ増やしてやります。
今回のケースでは金融課税5%ゾーンの52万円分を全て譲渡所得に充てられますが、更に申告譲渡所得を28.67万円(=4.3万円÷15%)増やしてやると配当控除分の4.3万円が還付される計算になります。
住民税分の配当控除は金融課税5%ゾーンで使える(一部が住民税2.2%ゾーンになる)ので考慮する必要はありません。
よって、配当控除によって譲渡所得限定の金融課税5%ゾーンが28.67万円分だけ拡大するイメージで良いと思います。
配当が住民税の基礎控除内で収まるなら配当控除が得られる総合課税を迷わず選択すれば良いと思います。
配当が住民税非課税枠を越えると分離か総合かはケースバイケース!
ところが申告する配当金が住民税非課税枠を越えてくると、総合課税と分離課税のどちらがトクかは一概に言えません。
配当控除欲しさに総合課税を選択した時点で金融課税5%化計画は崩れます。
総合課税を選択したので控除を越えた配当は住民税10%課税からスタートすることになり、住民税の配当控除を考慮に入れても金融課税7.8%計画になり、配当の税率が2.8%アップします。
また、控除はまず総合所得に充てることが原則なので、申告配当金を増やすことは分離課税の譲渡所得に使える金融課税5%ゾーンが縮むことも意味します。
(=分離課税を選択すれば対象所得が配当でも譲渡でも住民税率は同じ5%になるので内訳は問わない。)
結論
①基本は配当も分離課税で申告して単純に「金融課税5%計画」で行くのが計算も理屈もスッキリします。
②配当が住民税非課税枠で収まる場合においては、総合課税を選択した方が配当への課税がゼロ円になった上で「配当控除」という名の税額控除も得られので確実に有利です。
③但し、住民税非課税枠より大きくても、配当は総合課税で申告して住民税率を2.8%増税させて(還付税率を15%から12.2%に縮小させて)でも配当控除を取って、その税額控除を分離課税の譲渡所得分にぶつける(還付増)ことで、ネットの減税額が増える(還付増となる)ケースも充分あり。
③の損得判断は配当と譲渡所得の額や組み合わせによって変わって来るのでなかなかに面倒です。
そこでe-taxにデータをぶち込めば還付額まで瞬時に計算してくれるので「総合」と「分離」の二通りで入れてみて還付の多い方を選べば良いと思ったのですが、住民税の還付額は教えてくれないのでは所得税還付額だけ比較しても無駄であり間違いの元になりかねません。
自分でエクセル等で計算して損得判断するしかありませんね。
所得税の還付額がe-taxの数値と(四捨五入レベルの誤差以外で)一致することで、自分で計算した住民税の還付額も正しかろうというチェックには使えると思います。
面倒とか、よくわからない人はシンプルに①で行けば良いでしょう。(労力に見合う差が生じるかもわからない。)
とにかく減税額の最大化を狙いたいなら、カラクリを理解してエクセル等で計算式を組んで自分で検証しましょう。
税理士にも金払いたくないし、自分で勉強するのも努力するのも労力掛けるのも嫌だけど、俺にもわかるように3行で纏めるかベストな答えだけ教えてくれってそんな虫の良い話はありませんから!?

