2025年06月26日

骨太方針2025で医療保険負担に金融所得反映の制度設計推進が明記された!

6月13日に骨太方針2025(正式名称:経済財政運営と改革の基本方針2025)が閣議決定されましたが、投資家にとっては重大ともなりそうな制度変更予定がしらーっと紛れ込んでいます!?
重要なことなので該当箇所の引用だけではなく、位置付けも明確にするため章や項目も明示します。

「経済財政運営と改革の基本方針2025」
第3章 中長期的に持続可能な経済社会の実現
2.主要分野ごとの重要課題と取組方針
(1)全世代型社会保障の構築
の中で以下のように記載されました。

「持続可能な社会保障制度のための改革を実行し、現役世代の保険料負担を含む国民負担の軽減を実現するため、・・・、『現役世代に負担が偏りがちな構造の見直しによる応能負担の徹底(※211)』、・・・、2025年末までの予算編成過程で十分な検討を行い、早期に実現が可能なものについて、2026年度から実行する。」

『』内が該当箇所なのですが具体的には何も言ってませんね。
目立たせたくないことは注釈にフォントを小さくしてシラーッと記載しておくいつもの作戦ですね!?
では、本丸の注釈※211を抜粋します。

「医療・介護保険における負担への金融所得の反映に向けて、税制における金融所得に係る法定調書の現状も踏まえつつ、マイナンバーの記載や情報提出のオンライン化等の課題、負担の公平性、関係者の事務負担等に留意しながら、具体的な制度設計を進める。」

つまり、この注釈内容は閣議決定事項です!
この話は今突然出て来た訳ではなく、昨年も自民党でプロジェクトチームが出来て検討を続けている筈です。

その時にも以下の記事を書いて、
「金融所得で保険料増検討!?源泉徴収済でも国保料取られる?「公平」って何ですか?」
https://www.tasukejp.com/article/503124358.html
この記事内で意見も書いたので今回は繰り返しませんが、昨年時点で「2028年度までに可否の検討を進める」というスケジュールでした。

可が決まったとしても速やかに実行できる可能性も低く、(仮にできたとしても)実際の施行は2030年代かも知れません。
骨太の方針には早ければ25年中に検討して可能なものは26年から実行となっていますが、本件に関してはあり得ないと言っても良いでしょう。
注釈内でも触れられている通りに実施までには、法定調書・マイナンバー・公平性・事務負担など様々な要件をクリアする必要がある筈で、昨年自民党が公にしたスケジュールから大きく変わってはいない筈です。

しかしながら、閣議決定された事実は大きく実施の方向に強く動き出すことは間違いありません。
敢えて前向きに捉えるなら、健康保険料(税)の算出に金融所得を含める方向性がほぼ決定的なら、金融課税強化を取り敢えず棚上げする可能性もあると思います。
国民民主党の公約にもあるし、石破総理も高所得者限定とした上ですが金融増税に前向きな発言をした過去がありますが、金融所得から健保料を取った上で直ぐに税率も上げようとは言い出しにくくなります。

取り敢えずと言うよりも、現在の20.315%課税に加えて仮に10%の健保料を取るとすれば、計30.315%が金融所得から取られる訳で、ここから更に増税するのは金融投資への懲罰的な課税となり恒久的にやりにくくなると思います。
投資家の側からすれば取られるのが税か健保かの違いにあまり意味はなく、大事なことは利益の何%が手元に残るかなので、国が増税を引っ込めて健保料を取ることにするならそれでも構わない訳です。

でも、金融所得を把握して公平に課税する仕組みの構築を含めて簡単ではないと思われ、ここから2-3年で実施可能とは思えないし、10年後でも本当に出来るのかという疑問はあります。
永田町と霞が関にその能力と実行スピードがあれば、日本は30年も40年も失っていないと思いますね!?

ということで、医療保険負担に金融所得反映=金融所得から健保料徴収に関して、今後の議論を見守りつつ適宜茶々を入れて行きたいと思います。
posted by 太助 at 12:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | 全般共通 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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