日経新聞が2月5日に報じたところによると、24年度の金融所得課税(株の売買と配当)による税収見積もりが大きく上振れして補正予算の主要財源になったとのこと。
24年度補正予算時 当初予算時 上振れ分
株式譲渡税収 2.3兆円 1.4兆円 △0.9兆円
配当税収 2.9兆円 1.9兆円 △1.0兆円
金融課税計 5.1兆円 3.3兆円 △1.8兆円
<参考>一般会計税収 73.4兆円 69.6兆円 △3.8兆円
金融所得課税が24年度税収全体の約7%を占めています。
所得税の見積もりが20.1兆円なので、24年度の金融課税は所得税の1/4相当の貢献があります。
大事なことなので言い換えてもう一度。
24年度の金融課税はなんと日本全国納税者何千万人の血税25%分の税収貢献があります。
但し、24年度の上振れには特殊要因が大きいことも確か。
@新NISA開始による特定口座からの移し替えによる売却
この影響は間違いなく大きいと思いますが、今後4年程度はこの特殊要因による税収増は期待できると思います。
(勿論後ろに行くほど弾が尽きて税収貢献は落ちる)
A日経平均が34年ぶりの最高値更新で4万円台が何度も
あったので、何十年に渡る塩漬け赤字日本株を黒字で売却できるチャンス到来、かつ一旦の高値として4万円台は売却進めるのに充分と考えて大量に売った人が多く税収に貢献。
@とAの複合要因で譲渡税収が膨らんだと考えられますが、Aが特殊要因であっては困りますね。
継続的な株価上昇により譲渡税収がもたらされるのであって、たばこと同列に扱い税率アップでむしり取れでは喫煙者同様に本邦投資家が激減して結果税収減となりかねません。
配当税収の上振れ要因は私にはよくわかりませんでした。
株価好調=企業業績良好=増配で配当収入が増える好影響はあったと思いますが、特定口座からNISA移行で配当課税できずに減るマイナス分もあったはず。
保有から配当受領まで3カ月から半年や1年のタイムラグがあるので24年は新NISA移行のマイナス分が小さかったのかも知れませんが、大きく上振れた要因は私には不明です。
でも、基本的に配当は減配や無配に転じる企業はあっても譲渡益よりは安定的で毎年の税収を期待できます。
譲渡益は水ものであり株価が横這いや下落で終わるような年度では激減してしまうでしょう。
徴税の観点では配当税収を安定的に伸ばすことで安定財源化を考えるべきでしょう。
その為にやるべきことは投資意欲を削ぐ課税率アップではなく、「貯蓄から投資へ」の流れを更に強めて一億総投資家化で課税のパイを増やすことだと思います。
国民がNISAには手を出しても特定口座は税率アップして例えば30%なら落差が大きすぎて、国民は簿価1800万円未満でNISAだけやってろ!それ以上やるのは道楽者だからたばこ同様にむしり取り撲滅させるという間違ったメッセージを国が送ることになります!?
たばこヤル?麻雀パチンコやる?株やるの?
これが日本人に刷り込まれた株式投資のイメージです。やる?ヤル?
株式に投資することは資本家になることであり資本主義の根幹なのですが、株やる?パチやる?
消費税とは違って金融課税で税率上げればその上昇分だけ税収が増えると思うのは大間違い。
「投資から貯蓄へ」とマネーが逆流して引っ込み、高税率で元本割れリスクのある配当狙いの勝算ハードルが高く上がり、今後も利回り上昇が見込まれる元本保証の国債や銀行預金へと日本人の保守的マネーが回帰していくのは自然の理。
資金が株式市場から引き上げられれば株価も下がるダブルパンチ。
勝算ハードルに金持ちも庶民も有利不利、許容税率の高低もありません。
特殊要因があったとしても24年度の金融課税5兆円は税収に大きく貢献している訳で、これを更に成長させて税収を増やすための施策は「貯蓄から投資へ」を更に加速させて課税対象の分母を増やすことであり、課税対象減少を招く課税率アップではないでしょう。
率上がっても簡単に止められない消費や「社会悪」視で懲罰対象の喫煙家と資本家を国は混同しない方が良いと思いますけどね。
ギャンブル混同で株ヤル?という日本人の意識がこの34年の株価低迷の一要因であったことは確かでしょう。
金融所得課税最大化かつ安定財源化のためにも無意味な感情論ではなく、スマートに知恵を絞った施策を期待します。
2025年02月07日
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