減税を強く主張する国民民主党玉木氏のXでの金融所得増税コメントが話題になっているようですが、国民民主党が昨年12月24日に発表した「令和 7 年度税制改革と財源についての考え方」の中で、「金融所得課税については分離課税を 30%に上げ、総合課税と選択できるよう目指します」と明記されています。
パーセンテージを一旦棚上げすると総合課税との選択制にするとの方向性は良いんじゃないですかね?
配当所得は既に分離でも総合でもどちらか有利な方を選べる訳ですし、譲渡所得についても分離課税の税率議論にかかわらず直ぐにでも選択制に移行して良いと思います。
徴税側の視点に立てば、分離課税はいつどれだけ売却しようが同率課税なのだから延々と含み益のまま持ち越され少なくない割合を墓場まで持っていかれて税金を取れないというデメリットがあります!?
総合課税に移行させるメリットは累進課税なので大きな税率にならないよう毎年一定割合を売却させるインセンティブを投資家に与えます。
老後まで延々と含み益を持ち越してドカンと売れば総合課税で5割持っていかれるなら、自分の所得税率を上げない範囲で現役の内から適度に売っていこうとなり毎年の金融課税が増え、更には売却益が消費に回り消費税収にも貢献するでしょう。
徴税側が株式投資は長期で売らずに・・と綺麗事を言っていても仕方なく、それは短期でも長期でもどうせ徴税できないNISAに任せておけばいいんです。
しかしながら、分離課税率を30%にすることは少なくとも近い将来で検討すべきことではないと思います。
新NISAの貢献も大きくようやく「貯蓄から投資へ」の流れが日本に定着し始めているのに、「投資から貯蓄へ」と逆流させることになります。
やるなら少なくとも流れを阻害しないように預金利子にも30%課税をセットにすべきですが、政治的に絶対に100%やれないでしょう。
(預金利子率も上がって来ているし、利子への増税10%分が年間数十円にしかならなくても国民に発狂されます!?)
また、総合課税で減税になる人も多いと主張していますが現状の国民民主案では「第2の税金」を考慮した場合に殆どの人が増税となります。
確かに総合課税の最低税率は所得税5%住民税10%の計15%ですが、総合課税を選択すれば源泉徴収済みの分離課税では掛からない国民健康保険料が「課税」されます。
これをざっくり10%で見積もると、結局25%程度は取られので現状の分離課税20%からは実質増税になります。
減税になるのは会社の健保に加入して所得税率が5%台の極めて限られた層だけです。
この層だけが約5%の減税になるだけですね。
私はそもそも保守的な日本人のリスクマネーに30%も課税するのは過大であると考えます。
儲けた時は自己手取り70%、損した時は自己負担100%。
これが丁半博打だとしたら手を出すのは算数が出来ない人だけですね!?
まずはNISAやiDeCoで国民に株式投資に慣れて貰って、特定口座での投資にも踏み出して貰って、資金を減らすリスクを負う国民からリスクを負わない国が儲けた時だけ分け前を頂くという発想を持つべき。
リスクなんてないなら何十兆円の税収で国がオルカンでも買って税収を自己増殖させれば良いことですが、そんなリスクを取れる訳がないし取られても困りますね。
税率20%で足らないならNISA/iDeCoをこれ以上拡充するのを止めることが先ではないですかね?
金融の非課税枠や減税枠を「正義」にすり替えて拡大しつつ、税収足りないから特定口座の税率を上げますって本末転倒ですね。
譲渡益課税=「投資額」x「株価の上昇率」x「税率」
税収を上げるためには「税率」を変えずに前の2つの変数を最大化するのも1つの方法。
高い税率で預金よりもリスクの高い株式投資という池で「投資額」は積み上がらない。
日本の永田町が米国株を上げるのは他力で困難だが、ここ30年から40年の低迷で証明してきたように日本株の上昇には大きく関与して責任があると自覚すべきで、トランプが米国株価を気にするように日経平均やTOPIXを毎年上昇させていくという意識を持つべき。
株価の最高値更新に34年かかる国で金融課税が少ないって税率の問題ですかね?
30%課税ならますます日本株から投資家が逃げていきませんかね?
単純な算数でも問題でもないので、金融課税の最大化のためにも慎重かつ丁寧な議論を望みます。
まずは30年も出来なかった日経平均とTOPIXの持続的上昇が先で信頼も信用もないところに税率アップは時期尚早。
2025年02月04日
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