3月19日に日銀は政策金利を0.5%で据え置き、スイスが20日に政策金利を0.5%から0.25%に引き下げたことで、スイスが日本から世界最低金利の座を奪いました。
両国共に長らく低金利を維持して来た世界のツートップであり、22年9月以来の交代となり珍事ではありません。
しかしながら、最低金利の調達通貨としてキャリートレードに利用されてきた「円」にとっては重要なポイントになるかも知れません。
現在の大きな円安トレンドに転換したポイントは2021年だと思いますが、年初は103円でスタートしました。
それでも緩やかな円安でレンジ内で推移して、大きく円安にブーストしたのは125円まで円安に振れた22年3月から131円まで円安に振れて明確にレンジを抜けた22年4月が起点とも言えます。
当時の相場予想状況は定かでありませんが、日銀が利上げに動かないことは確実、3月から4月頃にはスイスが近い将来に利上げすることは予想されていたのではないかと思います。
つまり、世界最安金利で円キャリートレードが今後可能になると判断できた時期と160円に向かう円安に加速していく時期はほぼほぼ一致していたと言えます。
今年円高トレンドに足元は転換していることに関しては米国問題を横に置くと、日銀が昨年にゼロ金利を解除し、今年も1月に0.5%まで引き上げて今後も段階的に引き上げると示唆しているからで、これまでの動きにスイスフランとの相対評価はあまり関係ないとは思います。
2月からの米国株安には日銀金利引上げによる円キャリートレード巻き戻し影響も大きい説がありますが、欧州や新興国は大きな株安を招いていないので限定的な影響しかないと思います。
今後に関しては、0.5%に引き上げられ今後も一応利上げ方向の円を借りるより、0.25%に引き下げられて直ぐには利上げに転換するとも思えないスイスフランを借りてキャリートレードを行う方が調達コストが低いので、円キャリートレードが以前のように盛り上がることもなくなり下火になって行くのではないでしょうか?
株式市場全体にとっては円キャリートレードがスイスフラントレードに変わるだけで低金利通貨を借りて時にレバを掛けて投資することには不自由しないので、円キャリートレードの下火が株式市場の下押し圧力にもならないと思います。
ドル円を中心とした為替相場にとっては、円キャリートレードの下火は(既にこの影響も小さくなっていますが)リスク回避時の円高圧力の緩和と日常的な過度の円安圧力の緩和には繋がるのではないかと思います。
もちろん森羅万象を織り込むし、日本側より米国側要因で動くことが圧倒的に多いし、スイスフランとの金利差逆転により円高トレンドに転換すると言える程の影響力もないと思いますが、過度な円安を招いていた小さくない要因の1つが消滅したと言えるだけのインパクトはあるかなと思います。
2025年03月24日
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