NTTがSBIHDに約8%出資して資本業務提携契約を締結と発表しました。
前回の記事はあくまでSBIHDが住信SBIネット銀行の持ち分を全てNTTドコモに譲渡するという前提での話であったので、大グループ間で資本業務提携するなら話は変わって来ます。
この資本契約によりSBIHDの利益は(つまりSBI証券の利益も)間接的にNTTの利益になるので、NTTドコモの支配下に置いた旧住信SBI銀行と子会社のマネックス証券との連携を強めつつSBI証券との連携をぶった切っていく動機に欠けます。
SBIHDを率いる北尾氏は出資0%となる旧住信SBIの経営に口を出せなくなりますが、NTTグループにSBIHDへ出資させることでSBI証券と旧住信SBIの連携は確約させることが出来るし、更に連携を深めてNTTが許容する範囲内でSBIHDの為に旧住信SBI銀を利用することが出来ます。
NTTドコモの社長はマネックス証券とSBI証券の関係を聞かれ
「住信SBIの現在のSBI証券利用顧客が今回の提携で不便になることはあり得ない。これからも変わらず便利に利用してもらえるようにする。
一方、マネックス証券も当社にとって重要な機能を持つ会社であり、そのサービス提供機会もしっかり作りたい。」と回答しました。
北尾氏も「公平かつ公正に扱い、顧客の利便性を損なわないようにするということで双方合意できた」と回答。
ということで、住信SBIのSBIハイブリッド預金も今後問題なく継続するし、SBI証券利用者にとってはdポイントとの更なる連携等NTTとの資本提携による恩恵を得られるかも知れません。
おそらく北尾氏が今後の旧住信SBI銀行にイメージしているのはSBI新生銀行とSBI証券・マネックス証券双方への連携だと思います。
今回のNTT連携とは全く関係ない過去にSBIHDは旧新生銀行に敵対的買収を仕掛けました。
北尾氏による支配を嫌がった旧新生の経営陣は従来からあったマネックス証券との連携を強めました。
投信積立に使えるマネックスカードは新生銀行の子会社であるアプラスに発行させたし、自前での投信販売を止めてマネックス証券への取次に切り替えました。
私はこれらがSBIHDによる買収後に速やかに廃止になると見ていましたが、現状でも提携は継続されています。
当時のSBIイヤイヤ新生経営陣がSBIHDへの嫌がらせでマネックス証券にかなり有利で長期の契約を結んだ可能性もあり切りたくても切れないだけかも知れませんが、既にSBIHDはSBI新生銀行でSBI証券とマネックス証券双方への「割と」公平な取り扱いをしています。
例えば、投資信託のページでは金融商品仲介先としてSBI証券とマネックス証券を並列で併記して特にSBI証券を目立たせて誘導するような見せ方もしていません。
マネックス証券がdカードによる投信積立を始めた後もマネックスカード積立は廃止されず同条件で継続されています。
既にあるSBI新生・マネックス連携を材料にNTTグループから譲歩を引き出せた面もあるかも知れませんが、北尾氏はSBI新生で手本は示しているので経営は譲った旧住信SBIでも両証券を同様に公平に扱ってくれ!その上で選ぶのは顧客!
その環境なら旧住信SBI経由でもSBI証券がマネックス証券に負ける訳がない!と強気な自負があるのでしょうね。
経営から手は引くがNTTに売った旧住信SBI銀行にハイブリッド預金等のSBI証券連携は維持死守させて、自分はSBI新生銀行の発展拡大に専念できると考えたのでしょう。
NTTがSBIHDの資本提携まで踏み込んだのは子会社化したマネックス証券に少々物足りなさを感じた面もあるかも知れませんが、SBIHDはマネックス証券の商売を邪魔しない範囲で旧住信SBI銀行も引き続き活用できるしNTTとの連携をSBI証券を中心とした自社グループに利用できます。(ひいてはそれがNTTの利益にもなる資本関係があるから)
今回の資本提携を一番喜ぶべきはSBI証券利用者ではなく、SBIHDが邪魔する権利もなくなったアプラス社発行マネックスカード積立利用のマネックス証券利用者かも知れませんね!?
2025年06月02日
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