前回のエントリーで、証券優遇税制延長により店頭FXの税制変更も遅れるだろうと指摘しましたが、早くも見事に裏切られました!(良いほうに!)
なにこれ?ドサクサに紛れて突っ込んじゃったの!?
昨日付けで発表された平成23年度税制改正大綱に以下の記載があります!
---------------------------------------------------
現在、店頭金融デリバティブ取引に係る所得については、総合課税としていますが、金融商品間の課税の中立性を高める観点から、市場金融デリバティブ取引に係る所得と同様に、20%申告分離課税とした上で、両者の通算及び損失額の3年間の繰越控除を可能とします。
---------------------------------------------------
小難しいことを書いていますが、もっと単純に一行で表せば、
“店頭FXの総合課税を廃し、取引所FXと同一の分離税制を適用し、税制を一本化する”
と言っているはず!
あれ?もう決まっちゃってるよ、こんな大事なことが!
証券優遇税制と平行して議論されていたなんて話は聞いていないし、将来的に可能性はあっても随分先の話と思って、誰もこの師走にこんな話が決まるとは思っていなかったのでは?
いつから実施されるか気になったのですが、日経新聞によれば、
「2012年1月以降の決済分から、店頭FXにも20%の申告分離課税を適用する。損失が出た場合は次の年以降3年間の繰越控除も可能になる」
そうです。(そりゃ来月からいきなり適用されても急過ぎて困るわな)
これで、くりっく365の税制上の優位性は1年後には消滅することになりますね。
金融庁も証拠金の保全等の他の優位性でくりっくは生き残れると判断したのでしょうね。
2012年からは、店頭FXも20%分離課税で3年間の損失繰越が可能になり、取引所FXとも損益通算でき、日経225先物や商品先物とも損益通算できることになりそうですね!
税制の違いを理解して店頭と取引所を使い分けていた人は必ずしも歓迎すべき変更ではないかも知れませんが、大多数にとっては歓迎すべき悲願の税制統一でしょう!
まだ1年ありますし、細かいことは今後詳細情報が明らかになると思うので、対応はゆっくり考えれば良いと思います。(=速報ベースで書いているこの記事を鵜呑みにしないで下さい。)
レバレッジ規制等により、店頭からくりっくへの流れが出来ていたと思いますが、税制の差がなくなれば逆流で店頭への回帰が起こると思います。
(やっぱり、くりっくを選択するのは税制優遇が一番の理由でしょう。)
これをきっかけに、店頭FXの手数料面だけではない多様な競争が促進されることを期待します。
逆風の中でも撤退せずに頑張った店頭業者にはフォローの風だ!ガンバレ!
今回FXに限定して書いていますが、「店頭金融デリバティブ取引」にはCFDも含まれるので、店頭CFDも分離課税に統一されるはずです。
それも含めて、大きな金融税制の変更ですし、正確な続報を待った方が良さそうです。

ただ実際に年明けの国会で通るかは微妙だと思います。所得税の控除カットや相続税の増税だけか素通りしてFXの税制は従来どおりに放置される可能性もあると思います。
何せこの改正で一番打撃を受けるのは取引所取引なのは火を見るより明らかですから当然これによって甘い汁をすっていた役人連中の陰湿きわまりない暗躍も予想されます。
ともあれ実施されれば店頭業者を利用している給与所得のサラリーマンなどの人の多くは減税になると思います。
専業の方の場合、住民税と所得税を同じ基礎控除で計算するとおよそ427万円以上は分離課税になった方が明らかに有利です。
ただし住民税の基礎控除が所得税よりも5万円少ないこと、さらに同じ税額であっても分離課税は住民税の分が総合課税の半分ですので住民税額を基準に算出される健康保険料が大幅に少なくなります。
以上のことを加味すると300万円台後半以上ならば十分恩恵を受けることになると思います。
何はともあれ年明けに改正案が通ってほしいものです(金融所得以外の部分でケチがつくのは構いませんが・・笑)。
東京23区の場合は住民税額が基準になると思いますが、全国の多くの市町村では所得額が基準なので、FXが総合課税でも分離課税でも国保の保険料は変わらないと理解しています。
税金ばかり気にしがちですが、住民税より健康保険料の方が大きいことも普通ですので、その影響は無視できませんね。
民主党は、金融課税は総合課税が望ましいとの考えだったと思いますが(私は理に適っていないと思いますが)、例によって深い考えがあった訳ではなく引っ込めたのか?(笑)
無事に通るといいですね。
コメントを書く