東証が「ABF汎アジア債券インデックス・ファンド」(愛称:アジア国債・公債ETF)の上場を6月19日予定と発表しました。
外資のステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズが既に香港に上場しているETFの日本重複上場となります。
賛否両論あると思いますが、私は国内ETF評論家として(?)この上場を評価します!
理由は、
●外資が海外上場済みETFの日本投入を今後も期待
●既に香港で4年の運用実績があるETFの円ベース取引が可能になる
●株価指数に連動しないものでも取引できるというETFの特徴を活かしている
●新興国1カ国の連動ではなくアジアでまとめているので、ニーズは高まると推定される
●アジアNo.1の取引所を目指すなら、アジアの隣近所に連動したETFを充実させるのは自然!
ケチをつければ(私ではなく代弁すれば)、債券なら米欧がまず先だろ!アジア債券の前に株価連動モノで揃えるべきものが沢山あるだろ!と言いたいことは沢山あると思います。
しかしながら、買いたいものを出してこない、出てこないから買わない、のイタチごっこでは、利益の出ないことはやらない外資は日本市場をスルーしたままです。
例えば、ブラジルやロシアのETFがあるのに、調べもせずに高い手数料を払ってぼったくりBRICs投資信託を喜んで買っている本邦投資家にも大きな問題があるのです。
日本のETF市場は流動性が低いからと外資が避けるのは、国内証券会社・取引所が市場を育てようとせずに場当たり的にびっくりETFを投入していることが最大の問題ですが、商売人のプッシュ情報に流されて自分で調べようとしない本邦投資家の姿勢にも問題があると思います。
(このようなブログを読んでいる方は勿論含んでいません。)
ということで、このETFの中身を見てみましょう。
管理報酬等は年間0.2%程度(最大で0.4%となる可能性あり)ですから、さすが外資の重複上場と言える低コストではないでしょうか?
国別組入れ比率は以下の通りとなっています。
香港 19.0%
中国 17.2%
韓国 16.7%
シンガポール 14.9%
マレーシア 10.5%
タイ 10.2%
インドネシア 5.8%
フィリピン 5.1%
アジア通貨危機を連想してしまう構成ですが(!?)、アジアも学んで強くなったでしょう!
アジア債券なら金利も高いと思ってしまうそうですが、時期が時期ですし高いとは言えません。
インドネシア7%台、中国5%台、フィリピン4%台で、残りは0.5%~3%ではないでしょうか?(しっかり調べてないので丸めておきます。私は買わないし!)
為替変動のボラも高そうだなと思いがちですが、そうでもないのでは?
香港(ドルペッグ)・中国(人民元)・シンガポール(通貨バスケット制)で5割を占めているので、ドル円レートの影響を一番大きく受けそうですね。
実績があると過去のチャートを見られるので助かりますね。
(香港上場済のアジア債券ETF by ロイター)
2008年夏まで右肩上がりで、その後暴落しても115が100まで落ちただけなので大したことありませんね、既に戻しているし。
ただ、このチャートはドルベースなので、日本のETFはこれにドル円レートを掛け合わせたものになる筈です。
それでも、非常に安定している部類に入るのではないでしょうか?
(私には、金利分は配当金に回るのか、基準価額に組入れられているのか定かではありませんが、前者でこのチャートなら素晴らしいパフォーマンスですね。)
私ならアジアの1桁台の金利を取りに行くなら株で10%以上を考えますが、魅惑の人民元の比率も高いですし、悪い商品ではないと思います。
FXで取引しようと思っても、限られた業者で韓国・中国・香港・シンガポール通貨は可能ですが、スワップは売り買い共にマイナスとなるケースが多いと思います。
FX投資家にも、取引しにくいアジアの通貨価値の上昇と金利にベットするなら、このETFは面白いのではないでしょうか?
[←参考になりましたら一押し。m(._.)m]