日経コラムの「株、長期投資の時代は終わったか」は今更の感だか、信仰も自由だ!?

日経Web版のマネー底流潮流の5月23日付コラムに『株、「長期投資の時代」は終わったか』と題する記事があります。
 
おっ、日経が日経平均の長期的成長を否定かと読んでみましたが、東証1部の平均で過去データを検証するのは、世界のNIKKEI225ブランドへの配慮か!?
 
何を今更の感がありますが、東証1部の全銘柄を購入し、2010年の平均株価で売却した場合の配当込み収益率(年複利)は、
保有年数10年:-1.3%
保有年数20年:-0.6%
保有年数30年:+5.7%
となっていて、ここ20年では損失になるが、1980年に100万円買っていれば、30年後の今は527万円と5倍以上になって、「長期投資の醍醐味(だいごみ)」なんだそうな・・。
 
なんだ長期投資否定の内容かと思ったら、そうでもない。
しかしこれでは、30年以上の長期投資なら報われるかのような誤解を与えかねない表現でもある。
1990年に買って30年ホールドして2020年に売る場合に、+5.7%の複利で増えることは考えにくいし、ここ20年と同様にマイナスにならないという保証はない!
 


否定的な立場として、学者やストラテジストの意見が引用されている。
●日本株の期待成長率は「日本経済の潜在成長力の1%に配当利回りの2%を加えた3%程度」
●「人口が減り、成長のための政策もなく、国内市場の拡大が望めない国の株式市場には右肩上がりの相場は想定できない」
●「株式投資でバイ・アンド・ホールド(買って持ち続ける)戦略の時代は終わった」
 
ホールドの時代は終わったって、ストラテジストなら20年前にそれを予見して欲しいのだけど、日本中で大量生産された20年モノの塩漬け株はどうすんの?
じゃあ、どうするの?って所まではこのコラムは踏み込んでいません。
 
強いて言えば、
●ボックス相場前提で波を捉えて売買したら?
●市場平均は期待できないが、個別株ならリターンの高いものもあるよ
とやんわり言っているようで、2010年の投資収益率が100%を超える12銘柄のリストが載せられているが、明らかな仕手株も含まれ、収益率8位で割りとメジャーなディー・エヌ・エーでも、リスクを取って事前に仕込んで2倍に増やすことは簡単ではないはず。
 
ごきげんでもほったらかしでも長期投資に疑問を投げかけるのは思考停止を防ぐためにも大事なことだと思いますが、「で?どうするの?」にもう少し踏み込んで欲しかったですね。
 
市場平均で長期投資するにしても、それを誰かが薦めるからとか、学者が市場は効率的でタイミングを計った売買も銘柄選択の努力も無駄だと理論を唱えるから、それを「信仰」にしてしまってはいけないと思います。
(原発は安全だと学者が言うから信じるのではいけない。その理論が正しくない場合のリスクを負うのは学者ではなく信者です。)
 
私は長期ホールドに以下のようなリスクがあると思います。
●日本の「失われた20年」が「失われる40年」に継続拡大するリスク
●先進国が少子高齢化と低成長で日本化して、株価が1/4にはならなくても右肩上がりという前提が長期的に崩れるリスク
●資本主義と民主主義が制度疲労を起こして、社会を停滞させるリスク(←既に起こっている!)
 
過去の株価は長期右肩上がりという前提が今後は「信仰」として通用しない可能性もあると思います。
ファンダメンタルズ分析を未来はわからないからの一言で否定する一方で、市場平均のバイ&ホールドで30年後に資産は増えているはずと信仰できるのは私には不思議です。
 
まあ信仰は自由ですし(笑)、結果は自分が全て引き受けることを充分に理解した上で、市場に何か確かなことがあるかのように信じるのも自由だと思います。
 
日本の株式市場は半面は確かに世界でも稀で特異であり、こんなふざけた株価のトレンドは参考にはならないと思いますが、半面は世界の先端を走る貴重な前例かも知れないとも思います。
 
長期平均投資はもしかしたら日本で今後も成り立つのかも知れないし、世界平均でも成り立たないのかも知れないし、30年に及ぶ長期で大金を賭けた丁半博打なのかも知れないし、傷の浅いうちに損切るデイトレードの方がローリスクかも知れないし、「信仰」であっても結果は全て自分が引き受けるのだと頭と体でわかっていればスタンスは自由ですね!?
 
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コメント

  1. 太助 より:

    韋駄天太助さん
     お見事! ずばり斬り込んでますね。(^^
     
    Tansney Gohnさん、
     そんなに斬り込んだつもりもなかったのですけど・・、楽しんで頂けたようでなによりです。(笑)

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