ニッセイ・S米国株式500インデックスファンドが運用期間1年以上になるので評価してみましょう。
このファンドの特徴は何といっても、米国株指数連動で信託報酬がオルカンと同じ年率0.05775%で設定されていること。
この低コストを実現するために、メジャーなS&P500指数を使わないことでライセンスフィーを節約して、S&P500に非常に近い(模した)Solactive GBS United States 500インデックスに連動させます。
ニッセイSとslim米国株式の6月末時点の騰落率を比べてみましょう。
1カ月間 3カ月間 6カ月間 1年間
ベンチマーク 5.3% 7.9% ▲4.7% 3.0%
ニッセイS 5.3% 7.9% ▲4.7% 2.8%
1カ月間 3カ月間 6カ月間 1年間
ベンチマーク 5.2% 7.4% ▲4.9% 2.2%
Slim米国株 5.3% 7.4% ▲4.8% 2.3%
ニッセイのベンチマークはSolactive指数であり、SlimのそれはS&P500指数なので、そもそもベンチマークから差異が生じます。
この1年では4期間全てにおいてSolactive指数がS&P500を若干上回っていることになります。
購入者の観点でハッキリ言えばどっちを買った方が儲かるかについてはベンチマークの違いとか関係ないので、単純に両ファンドの騰落率の差異を計算すると、
1カ月間 3カ月間 6カ月間 1年間
ニッセイ-Slim 0.0% 0.5% 0.1% 0.5%
となり、やはりニッセイが4期間全てで同等か若干上回っています。
直近1年では7兆円ファンドよりもたかだか純資産260億円程度(6月末現在)のニッセイSを選択した勇者の方が儲かったことになりますね。
一期目の総経費率は目論見書に0.19%との記載がありますが、これには売買手数料等が含まれないので、運用報告書の費用明細から数字を拾って年ベースに直すと、一期目の(総経費が間違って定義されているのでどう表記するのが適切かわかりかねますが)全費用率は約0.21%となります。
これは直近1年のベンチマークとの差異▲0.2%とも一致するので妥当だと思われます。
しかしながら、せっかくSlimを大きく下回る信託報酬を設定したのにやはりその他費用を含めるとコスト高にはなってしまいます。
保管費用が0.11%で全コストの過半を占めていますが、これは一期目であり今後の純資産の伸びに応じて低減が期待されます。
良い傾向としては直近半年間ではベンチマークとの差異が生じていないことから、その他費用が既に圧縮され始めたことも推測されます。
今後は信託報酬含めて年間全費用率0.1%以下に収まって来ると、Slimとの勝負はベンチマークの優劣でほぼ決まるようになり投資家にも訴求できるようになると思います。
今のところ運用に大きな問題はないように見えるし、S&P500ファンドに対抗するために出したのだから騰落率で確実に勝った(260億円を怪しげな指数連動に投じた投資家に報いた)ことは良いことですね。
しかしながら、似非S&P500指数ファンドで純資産200億円台はまだまだ小さいし、S&P500ファンドは初心者や保守的な層を多く含んでいるので、騰落率が少し上回ってもちょっと怪しいSolactive指数連動ファンドに鞍替えする人は少ないと思います。
地道に3年程度は実績を積んてS&P500に伍し続けるしかないと思いますが、ニッセイの目玉商品としてもう利益は捨てて信託報酬0.03%程度まで下げるのも手かなと無責任に思います。
Slimの信託報酬も年率0.08140%まで下がっているし、正直言って0.05775%程度ではブランドのS&P500指数から乗り換えて来ないし、パフォーマンスに差がない類似指数のSolactive500と言われて素人にはチンプンカンプンでしょうし、年間0.02%強程度のコスト差で誘引はされにくいですね。
せっかくライセンスフィーを回避することで低信託報酬を実現しているユニークなファンドなので、その他コストを含めればSlimに逆転されてしまうなら訴求にならないし、今後もコストを圧縮しつつ騰落率でS&P500に対抗し続けることを期待します!
ニッセイ・S米国株式500インデックスはあまり売れてないが騰落率はSlim米国株を上回る
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