鳩山論文を斬る!:東アジア共同体とアジア共通通貨は民主党のユートピアなのか? 日本をどこに導くのか?

最近政治ネタが多いですが旬ですし、経済にとっても重要なのでお付き合いを。(しなくてもいいですけど)
 
民主党のマニフェストには「東アジア共同体の構築を目指す」と明確に述べられています。
 
これを理由に票を入れたのは少数でしょうが、ネットで過剰な民主党アレルギー反応を示している人達は大概この辺りが理由でしょう。
 
最初にお断りしておきますが、私は自民麻生さんのアジア経済規模2倍計画も支持した通り、民主応援の記事を書いている訳ではなく新与党のアジア重視の姿勢に興味を持って記事にしています。
 
<読まなくていいけど参考過去記事(4/14)>


 
では、東アジア共同体とはなんぞやを鳩山論文(↓)から探ってみましょう。
http://www.hatoyama.gr.jp/masscomm/090810.html
 
「国家目標は「東アジア共同体」の創造」
「この地域に安定した経済協力と安全保障の枠組みを創る努力を続けなくてはならない。」

 
日本にとって凄いことを言っているのですが、注目度が低いのはやはり日本だからか?
(米国の怒りの反応の方が関心事か?だから変える必要があると思うのだか・・。)
 


以下の部分は共同体を目指す理由として極めて重要な問題意識だと思います。
 
「覇権国家でありつづけようと奮闘するアメリカと、覇権国家たらんと企図する中国の狭間で、日本は、いかにして政治的経済的自立を維持し、国益を守っていくのか。」
日本という国家が政治的経済的自立を維持する為に東アジア共同体が必要だと鳩山さんは考えているようです。
頭ではなく脊髄で反応している一部の人達が揶揄している売国ではなく立国です。
 
それを明快に述べているのが以下の部分です。
「軍事力増強問題、領土問題など地域的統合を阻害している諸問題は、それ自体を日中、日韓などの二国間で交渉しても解決不能なものなのであり、二国間で話し合おうとすればするほど双方の国民感情を刺激し、ナショナリズムの激化を招きかねないものなのである。地域的統合を阻害している問題は、じつは地域的統合の度合いを進める中でしか解決しないという逆説に立っている。」
私は基本的に正しいアプローチだと思います。
特に軍事問題で言えば、日本にとっての軍事的脅威は実質北朝鮮のみで、(賛成しませんが)他に中国・ロシア以外には見当たらないでしょう。
地域的統合を進めることによって日米安保の重要性も低下する訳です。
味方でも友人でもない金持ち隣人との交渉だから相手は頑なになります。(つっぱねても何ら自分にとってのデメリットにならない。)
 
「例えば今回の世界金融危機後の対応も、従来のIMF、世界銀行体制の単なる補強だけではなく、将来のアジア共通通貨の実現を視野に入れた対応が導かれるはずだ。
 アジア共通通貨の実現には今後十年以上の歳月を要するだろう。それが政治的統合をもたらすまでには、さらなる歳月が必要であろう。」

今すぐ何かやろうと言っているのではなく、アジア通貨の実現に10年以上で政治的統合には更にかかると長期的視野で言っています。
欧州のように統合は一筋縄ではいかないこともよく理解しているようです。
アジア通貨が実現すれば、輸出入のアジアの割合も益々増えていくだろう日本にとって為替リスクの軽減にも繋がります。
 
私は東アジア共同体に対するアジア各国のネガティブな反応を想定していましたが、今のところ私の知る限りはそのような反応もないようです。(今更遅いんだよアジアを無視してきた米国の属国が!・・というような)
 
寧ろアジア重視の鳩山民主に概ね好意的ですが、まだ詳細までわかっていないからかも知れません。
 
正直言って超長期で実現されるかもわからない構想ですが、日本は今のうちから主張しておくことが重要だと思います。
 
ストレートに言えば、中国が日本を下に見ないうちに、日本がアジア唯一の先進国として侮られないうちに、構想を打ち出して話し合いを進めてリーダーシップを取らなければ、アジア各国はますます中国になびくようになるし中国も日本と連携するメリットは小さいと判断して、中国が仕切るアジアの中で蚊帳の外になりかねません。
 
日本は米国の日本州でもなく中国の日本省でもなく、自立して生き残っていく術として東アジア共同体を構想しアジアに働きかけていくことは極めて重要だと思います。
 
結果として統合までいかなくても、成長戦略がないと言われる民主党政権で(自民党にあるとも思いませんけど)アジア重視の姿勢は日本経済を維持成長させることにもなると思います。
 
民主のマニフェストに明記されているので、東アジア共同体を目指すことは国民の総意だと思っているのですが違うのでしょうか?(笑)
 
では、鳩山論文の最後に引用されている「EUの父」クーデンホフ・カレルギーの言葉で締めましょう。
「すべての偉大な歴史的出来事は、ユートピアとして始まり、現実として終わった」、そして、「一つの考えがユートピアにとどまるか、現実となるかは、それを信じる人間の数と実行力にかかっている」と。
 
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