【書評】「ソロスは警告する 超バブル崩壊=悪夢のシナリオ」ジョージ・ソロス著

ご存知、ポンドを売り浴びせてイングランド銀行を破産させた伝説の男、大投資家(兼投機家)のソロス氏による恐ろしいタイトルの本です!?
 
   
(右側はその後に出た続編ですが、今回の書評とは関係ありません。)
 
と言っても、超バブルはリーマンショックで崩壊してしまいました。
 
氏がこの本を執筆したのが08年1月から3月のべアスターンズ危機の頃と思われます。
 
サブプライムショックは既に始まっていて、今回は通常のバブル崩壊とは異なり、住宅ローンバブル崩壊と共に超バブルの崩壊が起こると予測して、ピタリと当てています。
 
但し、この本が邦訳されて出版されたのが9月ですから、まさに超バブル崩壊の直前であり、この本のお蔭で逃げられた人は日本にどの程度いたかはわかりません。
 
超バブルはレーガン大統領の80年代に市場原理主義が跋扈した頃から始まっていて、バブル崩壊後の日本の低金利がもたらした円キャリートレードも貢献した過剰なグローバルの信用膨張だそうです。
(氏は市場原理主義否定論者です。でも、市場原理主義で大儲けした!?)
 
サブプライムショックが引き金となって超バブル崩壊をもたらすと断言しています。
 
さすが!としか言いようがありません。
 


やっぱり大物の意見はタイムリーに聞いておくべきですね。
(聞いていても、私は逃れられなかったと思いますが・・。)
 
この本は非常に難解です。
 
これらの氏の予想も氏独自の「再帰性」の理論から導き出されるそうなのですが、この理論の説明は哲学です。
 
私が要約出来るほど理解していないし誤解もあるといけないので控えますが、「私たちは世界の一部であるために、その世界を完全な形では理解しえない。」から理論の説明が始まります!
 
「人間の思考と社会現象は互いに干渉し合う」ので、それを独立に扱っている経済学では限界があると断じています。
 
市場に任せていても市場は均衡点に向かわないし、市場参加者が影響を与えるので均衡点は絶えず動くらしい・・、と中途半端に私が説明しても混乱するだけですね。
 
この理論がもちろん氏の有名な「市場は常に間違っている」という考え方に繋がる訳ですが、それで儲けた人なのでなんも言えねえ!
 
理論を理解しようとすると頭が痛くなってきます。(私は)
 
この本では、氏が幼少期にハンガリーでナチスに迫害を受けて逃亡生活をしていた時期や英国の金融業界から米国に渡ってヘッジファンドのマネージャーとして成功を収めた歴史にも簡単に触れられています。
 
再帰性の理論は理解できなくても、ジョージ・ソロスという人物には興味がある、
大物投資家のモノの考え方を学びたい(←難しい!)、
根拠なんていいからソロスが今後をどう予想しているかを知りたい(←直近の予想で既に起こったことが多いけど)
方にはオススメできます。
 
哲学と歴史に精通する者は相場にも精通するのだろうか?
 
天才の語ることは難しくて全ては理解できないが、予想は当たっているからソロスはやっぱり凄いと思わせてくれる一冊です。
 
1930年生まれだからもうすぐ80歳なんですね、衰えない人は衰えないと意外なことにも驚きました!?
 
評価:★★★★☆(星4つ)
 
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