でも、義務付けたのは金融庁ではなく、投資信託協会が自主ルールを作成して会員である約200社の運用会社に対して求めます。
お上からのお達しではなく、一般社団法人の決めたルールにどの程度の強制力があるのでしょうか?
投資信託協会は、「主に投資信託委託会社等を会員とする金融商品取引法上の自主規制機関であり」以下の業務を実施。
1.自主規制業務
投資信託等の運用・計理・評価・開示等に関する様々な自主規制を制定して、投資者保護に努めています。
2.会員調査
投資信託等に対する社会的信用の維持・向上に向け、正会員会社に対する法令・諸規則等の遵守状況や管理態勢等の調査を行っています。
3.監督官庁等に対する建議・要望等
投資信託等に関する諸制度、税制等について、業界を代表する機関として、監督官庁やその他の関係機関等に対して積極的に意見表明等を行い、投資信託等の健全な発展に努めています。
これらを見る限り、主要投信を運用する主要運用会社は全て投資信託協会の会員であり、実質的な強制力を持ち各運用会社の判断で「ウチは総経費率を開示しない」という選択は出来ないでしょう。
日興アセットマネジメントが4月に「Tracers MSCIオール・カントリー・インデックス」を信託報酬0.057%で出して話題を呼びましたが、他社が通常信託報酬に含める経費を外に出して信託報酬を低く見せていることが明らかになるにつれ不評へと変わりましたが、これが投資信託協会を今回の自主規制策定へと突き動かしたのなら日興アセットのグッジョブですね!?
(こういう組織に機敏な機動性があった試しはないので、新NISAに向けて以前から検討していた自主規制でしょうね。)
三菱UFJ国際投信は投信協会の自主規制を待たずにeMAXIS Slimシリーズで7月から目論見書での総経費率の掲載を始めるようです。
見た目の安さをアピールしたくて逆効果を招き投資家から警戒されてしまった感のある日興のTracersも信託報酬を抑えていること自体に嘘はなく堂々と「総経費率」でも最安を証明して名誉挽回するしかないですね。
そもそも「信託報酬」に運用会社が自らの判断で恣意的に含める・含めない経費を選択できる余地があるなら、そもそも厳密には「信託報酬率」という数字の比較が意味を成していなかったことになります。
総経費率の掲載義務という業界の自主規制はとても良い方向性だし、その問題点を浮き彫りにして結果として問題提起となった最安信託報酬のTracersにも投資家の疑念を払拭して総経費率でも「真の最安」であることを示し再評価されるセカンドチャンスを与えるものですね!?

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