金融庁が3年間の時限措置としていた日本版ISA(少額投資非課税制度)の恒久化を検討するようです。
詳細は決まっていないようですが、これは面白い!
株式の優遇税制10%が2014年から本則の20%に戻るため、時限措置として14年~16年の間に毎年100万円を上限に3年間で300万円までの投資について最長10年間非課税とするのが日本版ISAでした。
で、何故それを恒久化しちゃうの?
●証券業界から時限措置ではシステム投資を回収できないとして要望あり
●政府が7月末に閣議決定した日本再生戦略で、日本版ISAの投資総額を20年までに25兆円とする目標を決定
●金融庁は現預金に偏る個人金融資産の株式などへの分散投資を促し、投資家の裾野を広げる必要があると判断
などの理由が挙げられています。
さて、こんなシンプルな疑問が浮かぶのは私だけでしょうか?
そんな時限措置を永久になんてややこしいことをせずに、そもそもの軽減税率10%を継続恒久化するのが一番わかりやすくてスッキリするんちゃうの!?
正直言って、ちょっと(いやかなり)トンチンカンな違和感があります。
(悪知恵だけは東大卒の霞ヶ関が、選挙で選ばれたよくわからない永田町の人達を複雑な制度にすることで騙して、無理矢理押し込んでる気がしないでもないのだけど!?)
個人金融資産の分散投資を促し「貯蓄から投資へ」とこれまで税率を10%に優遇軽減して来た訳だ。
ところが、日本の株価は低空飛行だし、金持ち優遇はけしからんだの、消費税も上がるのに金融は優遇かよだのと批判され、優遇税制廃止が決まったが、その激変緩和として、時限措置の日本版ISA導入が決まった訳だ。
今更そんな従来と同じ理屈を並べて、仕方なく講じた時限措置を恒久化するって、本末転倒でやっぱりトンチンカンじゃないの?
政府の閣議決定で既に日本版ISAの目標額が決まっているようだし、金融庁の税制改正要望が(少なくとも2020年まで延長することは)受け入れられる可能性が高そうですね。
なんか議論すればする程、結論が整理されずに妥協の産物で制度が複雑怪奇の支離滅裂になっていく「決められない」日本らしさが反映されていますね・・。
日本版ISAを今後詳細化していく過程で私が懸念する(そんな立場でもないのだけど)大きなポイントは以下の2つ。
●14年以降、上場株式等の譲渡益と配当課税でホントに税収増になるの?
そのために優遇税制を廃止するのだから、結局日本版ISAで非課税枠を著しく拡大して全体では税収減となれば本末転倒でトンチンカンの笑い話。(いや私はそんなに困らないけど[笑])
一体何がしたいのか(笑)もう一度制度全体を整理して詳細を設計する必要があるでしょう。
●日本版401Kと類似し過ぎて整合性が取れなくなるのでは?
日本版ISAを恒久化するなら、非課税最長10年でも10年で回転すれば永久に課税されず、日本版401K(確定拠出年金)と非常によく似た制度になるのでは?
両者の問題点に共通するのですが、現状の年間100万円非課税10年の規模で恒久化するなら
①税率を本則20%に戻しても非課税枠が大き過ぎて税収減にならないのか、
②10年間で最大1000万円の非課税枠を永久に回せるなら日本版401Kの存在意義が大きく薄れないのか、
という懸念があります。(いや別に私はいいけど[笑])
月に約8万3千円の非課税枠が恒久化されるなら、税率何%上げてくれても大歓迎という毎月積み立て層も沢山居ると思いますが、税収規模や課税の公平性の観点からはどうなんですかね?
勿論、国に国益として長期投資を奨励するというポリシーがあって日本の株価が上昇すれば結構なことですけど。(日本株に流れるとは限らないが・・。)
ということで、日本版ISAの制度設計が今後どうなるかは興味津々で要注目です!