NTTドコモの住信SBIネット銀行買収方針が報道され、両サイドが「本日の取締役会に付議予定」と検討の事実を認めました。
SBIホールディングスの持ち分34%は全てドコモに譲渡して、三井住友銀行は持ち分34%を今後も維持して、残りをTOBで取得して非公開化する方向性とのこと。
ドコモが66%を持つ親会社となり、大事なことはSBIグループの持ち分はゼロとなり一切の影響力がなくなるということ。
言い換えれば、ここまで住信SBIネット銀行を大きく育てて来た北尾氏が及ぼせる影響力・命令・方針もゼロになります。
ドコモが銀行業を持つことのメリットにはここで触れませんが、取り敢えずネット証券ユーザーに与える影響を考えてみます。
証券ユーザーから見た場合の最大の懸念はSBI証券口座と連携できるSBIハイブリッド預金の存続だと思いますが、出資率0%で恒久的には存続する訳がないでしょうね。
移行期間として数年の継続はドコモ側と合意可能だと思いますが、子会社であるマネックス証券と連携させて他社に差を付けたい(追い上げたい)ドコモ側がいつまでも最大手のSBI証券に塩を送り続ける義理も得もない。
SBI側としても100%子会社の新生銀行があり中核に据えたいから重複となる住信SBIネットは手放すのに、いつまでも手放した銀行に依存することは望まず、その役割を新生銀行が担えるように切り替えをしていくでしょう。
現状では新生銀行でハイブリッド預金に類似した「SBI新生コネクト」を提供してますが、金利は0.4%と高いものの使い勝手は遥かに劣ります。
対象取引は「投信積立の自動入金サービス」のみで、ハイブリッド預金のようにそのまま東証の個別株・ETFを買い付けたり投信のスポット買い注文を出したり、証券口座と一体化して使える銀行口座にはなっていません。
これをハイブリッド預金と同等の利便性に改善していくと共に、新生銀行自体がSBI証券ユーザーのみならずネット証券ユーザー全般に選好されるよう他証券への自動入金サービス対応等を充実させる必要があるでしょう。
楽天銀行のように普通預金口座だけで証券と連携させられればベストです。
ハイブリッド預金は代表口座との間で「振替」を行う手間があり、この点で楽天の連携に劣っていたので新生銀行では楽天方式にして弱点を潰しましょう。
マネックス証券の方では旧住信SBIネット銀行の「ハイブリッド預金」に類似した連携サービスが導入されると思いますが、正直に言ってユーザー数や規模の観点からも大きなインパクトにはならないと思います。
ドコモが最大手ネット証券を持つことに意義は多いと思いますけどね。
それよりも入出金サービス等にも排他的にならずオープンな姿勢で大きくなって来た旧住信SBIネット銀行にドコモやマネックス証券との連携で色を付けてシナジーで魅力を高めていくことは当然ですが(その為の買収)、マネックス証券との優位性を作るために他証券は排他的に扱うようなことはないようにお願いします。
最大手ネット証券として社会の公器として当たり前にやらなければならないことで、公平性の上に+αで自社グループ特典を付けることが許されるだけなので。
これまでもSBI証券のための専属ネット銀行ではなかったように、今後もドコモとマネックスの専属ではなく、みんなに広く使われる公器の最大手ネット銀行という立場を忘れず公平性の上に自社グループ特典やdポイントを付けてください。
ということで、ネット証券ユーザーという観点では今回のドコモによる住信SBIネット銀行買収に大きなメリットは見いだせずむしろ懸念の方が大きそうですが、
SBIグループがSBI証券との連携部分のみならずネット銀行として新生銀行の利便性を高めていけるか?
ドコモが旧住信SBIネット銀行の路線を大きく変えずマネックスと連携させられか?
に掛かって来そうですね。
と書いた後に「NTTとSBIホールディングスが資本業務提携」という報道も出ているようです。
であれば、話は少し違ってきて両者が手を組みもっと大きな話になるかも知れなし、正式発表を待って必要なら再度記事にします。
2025年05月29日
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