iDeCoに50歳からのキャッチアップ枠を自民資産運用立国議連が提言?

iDeCo

問題は氷河期支援という誤った枕詞

23日の日経朝刊に、就職氷河期世代を支援するためにiDeCoで50歳以上の追加拠出枠を設ける自民提言案と報じられ、物議を醸しました。
一言で言えば、iDeCoの追加枠なんて氷河期の中でも助ける必要が全くない勝ち組を利するだけで、支援されるべき人達は捻出して増やせる拠出額なんてないと。
まあ、iDeCoは金持ち(高所得)優遇制度であり庶民の味方をする制度でないことを世間同様に政治家も全く理解せずに議論しているケースもあるように見受けられますね。

資産運用立国議連の提言全文には氷河期の一言もない!

提言案をまとめた自民党・資産運用立国議員連盟のメンバーである小林史明議員のサイトに「資産運用立国2.0に向けた提言」全文が4月23日付(アップされたのはおそらく遅い時間か今日)で掲載されていたので、該当部分を抜粋させて頂きます。

「確定拠出年金(iDeCo及び企業型DC)については、令和7年度税制改正大綱において拠出限度額の引上げが盛り込まれたが、老後に向けた資産形成を促進する観点からは、昨年11月に当議連が緊急提言を行った水準(第1号被保険者は月20万円・その他は月10万円)に向けて、キャッチアップ拠出の創設を含め、今後も更なる引上げを進めるべきである。」

該当部分はこれだけであり、全文の中にも「氷河期」の一言も出て来ないし、そのように受け取れる文章もありません。
メディア向けに説明する際に付け足したことがクローズアップされ、あたかも氷河期世代救済のためにキャッチアップ拠出を検討する(政治家の目的は理由を増やして世間受けを良くして提言案を通し易くすること)と受け取られたのかなと。
高齢者優遇批判(50歳以上ということは60代にも追加枠を与えるということ)を交わしたくて氷河期世代支援なんて取って付けて墓穴を掘ったのかも知れません。

該当部分は「若者から高齢者まで全世代の国民が金融リテラシーを向上させながら、一人一人のライフプランに沿った形で資産形成を行うための環境整備」という項目の中で挙げられています。
氷河期世代支援なんて取って付けて持ち出さなければ、そこまで叩かれることもなかったのでは?

キャッチアップ拠出枠の詳細不明も妄想すると?

そもそも自民党内の議員連盟が提言案をまとめただけなのでまだこの方向性で進んでいくのかも不明ですし、議連も明確なキャッチアップ拠出枠の絵を描けている訳ではないと思います。
でも、岸田元総理が会長を務める議連の提案に影響力はある筈。

現状伝えられている内容から、
●50歳以上で追加拠出可能(日経)
●2030年の通常国会までに政府内で議論(日経)
過去に使い切っていない拠出枠の利用を想定(読売)
●第1号被保険者は月20万円・その他は月10万円の水準に向けた措置(提言原文)

キャッチアップ拠出枠の絵を妄想すると、
導入はまだ数年先で50歳以上にiDeCo拠出新上限額(会社員なら月6.2万円)の約50%増(計月10万円以内)まで拠出可能として、その増加分を過去の拠出枠未利用分に限るかは検討の余地ありといったところですかね?
でも読売情報通りなら、50歳からiDeCoに加入する人には(過去の加入期間における未利用枠に限るなら)キャッチアップ枠は与えないことになるので、この条件が付されるかは疑問です。

iDeCo出口の優遇が不変なら安易にキャッチアップ枠は使えない!

拠出額が増えること自体に反対する人は少ないと思いますが、どんどん拠出額を増やして下さいと言われても、基本は増やせば増やす程に出口での課税(率)もアップします。
特に50歳以降のキャッチアップ枠なら運用期間も長くは取れずに、運用益は非課税でも受取額(拠出額+運用益)全体が(充当する非課税枠がなければ)課税対象になるので、損得(拠出時減税額と受取時増税額)を慎重に判断する必要がありますね。

資産運用立国議連提言の他NISA/iDeCo関連事項

提言にはキャッチアップ拠出枠だけでなくNISA/iDeCo改善内容が含まれています。

「確定拠出年金については、NISAと比較して多数の主体が関与する複雑かつ高コストな制度となっていることを踏まえ、厚労省は、内閣官房や金融庁など関係省庁の協力の下、iDeCoにおけるプラットフォームとしての国民年金基金連合会の役割を含め、制度の在り方及び大胆な改革について、本年度中に検討に着手し、可及的速やかに結論を得た上で、抜本的な手続の簡素化や手数料改善を速やかに実施すべきである。」

iDeCoは拠出する度に手数料、受け取る度に手数料など(店舗なんて1つもないのに)メガバンク店頭みたいな手数料体系で、低信託報酬の投信を揃えてもこっちのコストの方が痛かったりするのが大きなデメリット。
お役所体質と運用により民間では不要あるいは吸収できるコストが利用者に転嫁されている訳で良い改善提言だと思います。

「高齢者が物価上昇の下でも、投資のメリットを受けつつ、生涯にわたって計画的に運用資産を活用して生活に充てることができるよう、高齢者に限定して対象商品の拡大・スイッチング解禁を図る「プラチナNISA」の導入など、政府は退職世代向けの資産運用サービスの充実に取り組むべきである。」

「プラチナNISA」は昨年も提言されて却下された訳ですが再提言です。
ここからも、議連が提言したからと言って、iDeCoキャッチアップ枠も採用されるかは全くもって不明であることがわかります。
高齢者限定の「プラチナNISA」も再提言しているから、iDeCoキャッチアップ枠は50歳からだからと無理矢理氷河期世代救済にこじつけて結果叩かれてしまったのかも知れませんね。

ということで、キャッチアップ枠も更に議論が進んで詳細が判明しないとまだ評価できる段階ではありませんね。続報を待ちましょう。


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