年金改正法案が揉めていたことによりiDeCo改正もセットで通らなくなることが懸念されていましたが、自民が維新を巻き込んだことにより成立してiDeCo改正も前進しました。
【関連記事】
iDeCoは改善改悪を織り交ぜ毎年変わる超長期制度なので株価より予測不能なリスクの塊と付き合う覚悟を
内容は昨年中に明らかになっていましたが、大きな点は2つ。
●拠出限度額の引き上げ
○ 厚生年金被保険者の企業型DCの拠出限度額を月額6.2万円に引き上げる(現行:月額5.5万円)。
○ 厚生年金被保険者のiDeCoの拠出限度額を月額6.2万円に引き上げる(現行:月額2.0万円又は2.3万円)。
○ 国民年金被保険者の拠出限度額(国民年金基金と共通)を月額7.5万円に引き上げる(現行:月額6.8万円) 。
●iDeCo加入可能年齢の引き上げ(内容は後述)
この2つの大きな改正事項に関して厚労省が施行スケジュールを公表しましたが、両者共に
「令和9(2027)年の控除分からの実現を目指して、準備を進めることとしている」
という曖昧な表現。
確実に言えることは、来年の2026年から施行はハイ消えた!
目指すということは、2027年施行も現段階では確約できないということでしょう。
加入年齢の引き上げに関しては、社会保障審議会年金部会の6月30日付け資料に以下の記載があります。
「現在の要件に加え、公的年金への保険料を納めつつ、上乗せとしての私的年金に加入してきた者が、60歳から70歳にかけて引き続き老後の資産形成を継続できるようにするため、
60歳以上70歳未満の iDeCoを活用した老後の資産形成を継続しようとする者であって、老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付金を受給していない者にiDeCoの加入・継続拠出を認める。」
ザックリ言えば、「60歳未満に年金保険料を納めつつ私的年金加入実績があれば、60歳以上70歳未満の内で年金もiDeCoも受給していない期間は、iDeCoの加入と継続拠出を認める」ということになるでしょうか?(まだ詳細不明なので鵜呑みにしないで下さいね。)
では、具体的に「私的年金に加入してきた者」とは何を以って判断するのでしょうか?
例えば、59歳の最後の1カ月だけiDeCoに加入して拠出した場合には60歳以降70歳未満の継続拠出権利を得られるのか?
多分こういう話を詰める為にも1年以上必要ってことでまだ決まっていないのでしょうが、可能だとすればこんなことが出来てしまいますね。
国民年金の免除を受けているAさんはiDeCoに加入意思はあったものの、加入する為には国民年金を満額毎月分収めることが条件なのでiDeCoは捨てていた。
でも条件が改正されたので59歳の最後の1カ月だけ国民年金を払ってiDeCoに1カ月分を拠出した。(多分手続き的に同月の拠出は間に合わないと思いますが細かいことは無視します。)
60歳未満でのiDeCo加入実績は満たしたので、60歳以降は国民年金保険料を一切支払うことなしに(繰り下げ受給すれば)70歳まで月6.2万円(10年間で744万円分)の救出が可能になった!?
(たった1カ月分の国民年金保険料1.7万円程度を払っただけで得られる権利!?)
さて、本当にこんな事が可能になるのでしょうか?
今後詰められるであろう要件が判明しない限り考えても無駄ですね。
iDeCoの以前のイメージは、60歳に年齢が近づけば近づく程加入して拠出を始めるのは無駄になる制度だったと思います。
しかしながら、何度かの改正を繰り返して50代からでも遅くない、というよりも50代にこそ有利とも言えるような制度に変わって来ています。
私は20代こそiDeCoなんて60歳まで資金を強固にロックされつつ変わりやすい各種税制の上に乗っかっているだけの恐ろしい仕組みに安易に手を出すな(やるな!ではなく自分で考えて納得した者だけがやれ)と言いたいですね。
NISAと違ってiDeCoは自分で計画性を持って制度を利用するという態度がなく、ネットや所属企業の説明会で答えだけを欲して誰かの意見を鵜呑みにするようなタイプが使いこなせる制度ではないと思います。
40代後半から50代には60歳の出口も遠い将来ではなく見える先だし、iDeCoが翻弄される変わりやすい税制の変更もある程度の予想は出来ます。
もちろん運用期間は長く取れないし、多額の拠出をしても大して増やせないまま受取時期が到来して無駄に課税されるケースを避けるための想定もしなければなりませんが。
今後もiDeCoに改善・改悪が起こるでしょうし、自分には無理無駄イヤ使えない制度とレッテルを貼る必要もなく、有利な制度に変わって来るなら使い倒し方を考えるまでですね。
iDeCo拠出額最大月7.5万円への引き上げと60歳以降継続拠出は2027年実現を目指す
iDeCo