無分配?のSBI欧州高配当株式ファンドが登場!
SBIアセットが現在運用中の『SBI 欧州高配当株式(分配)ファンド(年4回決算型)』に加えて、
「SBI 欧州高配当株式ファンド(年 1 回決算型)」
(愛称:SBI 欧州シリーズ – 欧州高配当株式(成長型))
を12月5日に運用開始予定です!
信託報酬は分配型と同様に驚安の税込0.099%で設定されるので、年4回分配ではスルーしていた私も俄然このファンドに興味を持ち始めました!
一応アクティブファンドではあるのですが、おそらく無分配方針になると思われ、この低コストファンドで欧州インデックス投資の代替にならないかと!?
欧州へのインデックス投資手段は限られ安くない
日本では欧州へのインデックス投資手段は極めて限られ、ようやく最近登場したインデックスファンド(↓)もまだ実績はなく、信報報酬も0.3%前後と低廉ではない。
このSBIファンドは配当に着目したアクティブファンドではあるものの、欧州株ファンドとしては断トツの低コストであり、インデックスファンドに対して指数への信頼よりも低コストを求めるなら、代替手段として検討の余地がある。
騰落率を欧州指数とフィディリティファンドと比較
年4回決算型は24年2月から1年以上の運用実績はあります。年1回決算型とはマザーファンドが共通であり、年4回分配するか?ファンド内で再投資するか?の違いだけで両者のパフォーマンスに差はないはず。
従って、年4回決算型の1年騰落率をインデックスファンドと比較したいのですが、その実績のあるインデックスファンドが存在しません!?
仕方ないので信託報酬1.6%台ですが98年から運用している老舗アクティブの「フィデリティ・欧州株ファンド」と騰落を比較します。
本当は、このファンドの月次レポートにベンチマークとしてMSCIヨーロッパ・インデックス(税引前配当金込/円ベース)の騰落率が載っていて、そちらとの比較をしたいから選びました。
お尻を25年9月末で揃えて、SBI欧州は分配金実績があった場合に当該分配金(税引前)を再投資したものとして計算した「税引前分配金再投資基準価額」の騰落率を流用します。
3カ月 6カ月 1年
SBI欧州 7.01% 15.21% 23.47%
MSCI指数 5.99% 14.46% 19.57%
フィディリティ -2.31% 1.23% -2.38%
1年以内の3期間全てでMSCIヨーロッパ指数をアウトパフォームして1年では4%弱の差を付けました!
が、未来はわかりませんしあくまで直近1年の実績では勝ったというだけです。
そもそも指数に勝とうとして運用している訳ではなく、配当利回りの高さに着目して組み入れているファンドであることを忘れてはなりません。
但し、ファンドの配当利回りは加重平均で4.86%あるので、この高配当が1年騰落率を押し上げたことは確かでしょう。
因みにフィディリティはこの1年間はダメダメですが、高信託報酬でも設定来20年超の騰落率はベンチマークにそれ程負けてはいないから長寿ファンドとなっています。(そういう意味でも1年の実績だけでは優劣を何とも言えません。)
経費率も0.15%と低廉だが落とし穴は売買手数料!
目論見書に掲載されたファンドの総経費率も信託報酬含めて0.15%となっているので充分に低廉で優秀かと思ったら、大きな落とし穴がありました!?
経費率に含まれない売買手数料が高過ぎる!
第二期と直近の第三期(半年ベース)のコストを並べてみます。
第二期 第三期 計(年間ベース)
売買委託手数料 0.602% 0.326% 0.928%
有価証券取引税 0.480% 0.196% 0.676%
合計 1.082% 0.522% 1.604%
つまり、経費率には含まれない直近1年にかかった売買手数料と取引税は1.6%となり、0.1%の低信託報酬など吹っ飛ばします。
これらのコストを控除した後のパフォーマンスでMSCI欧州指数を上回っていることも確かですし、二期から三期にかけて半減しているように今後はコスト圧縮されていくのかは要確認です。
因みにフィデリティ・欧州株ファンドの第27期で同じコスト項目を確認すると合計で0.1%であり、インデックスではなくアクティブだからと1.6%の手数料が許容される訳ではないとわかります。
欧州株投資の選択肢になるかは今後も観測要
ということで、1年騰落率で欧州指数を上回っても、現状の売買手数料等1.6%は低信託報酬のメリットを打ち消すなんてレベルではない高コストであり、今のところ欧州インデックス投資の代替選択肢にはならないと思います。
信託報酬0.3%前後の「楽天・欧州株式インデックス・ファンド」と「ニッセイ・S欧州株式500インデックスファンド」をメインに考えた方が良さそうですが、こちらも運用1年後の判明コストを確認したいところ。
SBI 欧州高配当は売買コストを年間0.2%程度には圧縮して貰いたいし、今後はその確認をしつつパフォーマンスも引き続き良ければ選択肢に入って来るかなと思います。
同じくSBIアセットが信託報酬0.099%で出している「SBI ネクスト・フロンティア高配当株式」も経費率に含まれない売買手数料が大きく膨らむ可能性があるので今後要確認ですね。

