香港証券取引所に第一号となるHDR(香港預託証券)として、ブラジルのヴァーレ社が上場されました。
ヴァーレと言えば、ブラジルでは時価総額でペトロブラスに肩を並べる巨大企業で、鉱業会社というカテゴリーでも世界二位の規模を誇る世界的有名企業です。
これにより、本邦投資家でも日本の証券会社の中国株口座でヴァーレに投資することが可能になります。(米国株のADRではとっくに上場されていますが・・。)
ヴァーレは香港上場の理由について、
①収入の6割がアジアでそのうち4割近くを中国が占めること
②香港市場が比較的成熟し流動性も高い
ことを挙げた上で、将来的に上海の国際板に上場する可能性も示唆しました。
何故日本はスルーかって、理由の①と②でしっかり説明されている!?
そう言えば、東証もJDR構想を掲げていて、インドのタタ自動車がその第一号に名乗りを上げましたが、その後タタは東証上場の無期延期を発表して音沙汰なしで、勿論その他の海外企業がJDRで上場するなんて話は一切出てきません・・orz。
何が言いたいかっていうと、アジアの中で日本は預託証券でも香港に先を越されてしまったってこと。
タタの話が出たのは2008年のリーマンショック前でしたが、その後日本の証券市場の魅力が向上している訳がありません。
二年前はそれでも日本の市場がアジアNo.1の自負は間違いではなかったかも知れませんが、今もそんな意識でいたら大笑いされるでしょう。
前回記事で触れた子供の学力世界トップクラスの上海・香港・シンガポールは何故か証券市場でもアジアのトップクラスです。
日本は子供の尻叩いてアジア新興国とペーパーテストで競わせるよりも、大人が知恵出してアジアの証券市場No.1の地位を奪回することで子供たちにお手本を示したら宜しい!?
(長期的には不可能だから、アジアで5本の指を維持することかな!?)
日本も決して手をこまねいて傍観している訳ではありません。
民主党の成長戦略・経済対策プロジェクトチームが、株式、金融先物、商品を横断的に扱う総合取引所の創設を提言しています。
決済・システム・税制・規制・監督を一元化し、取引の24時間化も提言されています。
遅くとも2013年までに運用を開始するよう要望されていますが、日本のガラパゴススピードでは迅速な方でしょう!?(急がないと世界は日本のスローっぷりに合わせてくれないよ!)
総合取引所が出来れば問題が解決される訳ではなく、投資に消極的で貯蓄大好きな国民性で、市場の流動性も外国人頼みで、アジアトップの金融市場を維持できる方がおかしいのですが、打てる手は打つしかないでしょう。
例えば、金を中心に商品価格が上昇してコモディティがこれ程注目されているにも関わらず、日本の商品先物市場は盛り上がらずに業者の撤退も続いて取引所も閉鎖再編されています。
取引ルールをよりわかり易く、現物株と損益通算可能としたり、大手ネット証券が扱えば状況も好転するのでは?
(危機感を持って色々手を打っているのは知っていますが、これまで投資家を食い物にして不信を植え付けたツケが大きすぎるね・・。)
正直言って、仮にヴァーレがJDRで日本上場してくれても売買が盛り上がることは想像しにくいもの・・。
本邦投資家は若干のコスト的不利はあっても、目の前のパソコンで香港でも米国でも好きなところで取引できます。日本の取引所にフィーを落とす義務はありません。
本邦投資家にまでスルーされない為にも、あらゆる手段を尽くすことが必要だし、上海・香港・シンガポールに奪われない為にはそれだけの危機感を持って然るべきでしょう。
ガンバレ、日本の取引所!一日の長があるはずだ!?
[←参考になりましたら一押し。m(._.)m]