日銀総裁が為替相場をコントロールできない日銀に頼るなと企業や消費者に自助努力を求めるなら、日本は壊れていくよ~!

日本銀行の白川総裁のコメントは、いつも象牙の塔の学者や評論家っぽくて当事者意識を感じないんですよね・・。(ガッツというか人間らしさというか・・。)
一昨日の会見でも市場と対話できずに為替相場を円高方向にコントロールした(笑)ようですが、その発言を拾ってみます。
 
「最近の円高によって輸出関連企業、特に中小企業が大きな影響を受けており、経営者が大変ご苦労されていることは日銀としても十分認識している」
「変動相場制移行後の主要国の経験が示すように、当局が為替相場を自在にコントロールできるわけではないこともご理解をいただきたい」
「為替相場の変動を受けにくい企業体質の構築に努めるため、グローバルな最適生産体制を整備したり、為替のヘッジも行っている」
「円高メリットの活用も努力されている。円安が進む局面では企業買収を懸念するということになるが、現在は海外企業の買収を進めやすいという局面でもある。企業は大変な苦しみを味わいながら、他方でそういった取り組みもしっかり行っている」
「日銀としてはそうした短期的な動きや中期的な動きを含めて、経済の動きをしっかり見て、その上で適時適切な対応を図っていきたい」
 
はい、日銀はコントロールできないし苦労も努力も足りないので、代わりに企業が苦労し努力して困難を克服してねってか?
 
そりゃ政府・日銀の機動性も努力も足りない分、企業が機動的に努力する他ないよね、努力しなくても日銀は潰れないし給料も減らないけど、民間特に中小企業は生死に関わるからね・・。
 
特に「当局が為替相場を自在にコントロールできるわけではない」の発言で円高に振れたようですが、その通りだけど市場との対話より自分の保身を優先する言い訳発言が先に立つとは日銀総裁として如何なものか?
(きっと中小企業の苦労は頭で理屈として理解はするが、その痛みを心や体では理解してないのでしょうね・・。)
 


日銀総裁に限らず、深刻な円高になると必ず「円高にもメリットがあるのだから」と言われますが、円高により一個人投資家が海外資産への投資で有利になるという話と、国家として有利になるかは別問題です。
 
円高メリットの活用に企業も消費者も努力すれば、国としてはそれで結構なの?
困るのは日本国家ではないの?
 
企業が円高でも利益を出すためには売上と同じ割合で費用も外貨建てにしてしまうのが良いと思われます。
売上の海外比率の高い企業が給料を円で日本人に払うから円高で赤字になります。
日本の地方に多い輸出型企業の工場をアジアに移してしまえば、人件費を安くできるうえに外貨払いになるので円高耐性もつくし、仕入れも海外で安く調達して海外で組み立てて海外で売ることによって為替レートの変動による影響を最小化できますね。(一石三鳥、四鳥!)
 
結果、日本の地方は更に疲弊して就職できない若年層も増え、格差はますます拡大し雇用も失われますが、それでいいの?
平時なら血も涙もないと企業を批判もできるでしょうが、過度な円高では企業の生き残り策として仕方なしと肯定されます。(日銀総裁が努力と誉めるように・・。)
 
一方、円高により雇用機会も減った消費者は財布の紐をますます締めて、円高により安くなった商品を求め支出を抑える努力をします。
 
私は以前から円高でも輸入品はダイレクトに安くならないと書いていますが、ブランド物の値段はあまり下がりません。
BMWなんてユーロ安でも販売価格を下げないと公言します。
何故なら、価格が高いことに価値があり価格を下げるとBMWブランドを保てないからさ・・orz。
(それもどうかと思うけど、日本人のブランド志向って高いから買いたいって、そんなものでしょ。[笑])
 
また、どれだけ円高が進んでも100円ショップは90円ショップにならないでしょう・・。
仮になったとしても、100円ショップで月に100個商品を買う人がどれだけいるでしょうか?
仮にいたとしても、そのヘビーユーザーですら月間の節約額は千円(10円x100個)に過ぎません。
 
しかしながら、最近100円ショップに行って並べられる商品の質が良くなっていると感じました。
壁掛け時計や電卓が売られていましたが、さすがに千円には見えないが百円にも見えない。
他にはパスタやそうめん500gで百円とか、珍しくないが量が増えている感じ?
 
何が言いたいかというと、消費者にとっても円高メリットは大きくないが、それでも活かそうとすれば売れるのは中国を中心にアジア生産の激安商品が多くて、結果ますます日本の産業の空洞化とデフレに拍車をかけることになります。
(日本のメーカーが日本人に給料を払って、時計や電卓を百円で売って利益を出せる?)
 
デフレは困ると言いながら実は円高に内心喜んでいる消費者は少なくないのだけど、一企業や一消費者では対策が取れても、円高デフレで困るのは国家だろって話よ!
 
「円安もよし、円高もまたよし、下々の皆良きに計らえ」と、何もしないバカ殿ではなく、円高がマクロでは国益では大損失だって判断があるべきでは?
 
バカ殿を頼りにするなって言うのは正しいんだけど、そんなことはとっくの昔にわかっている話で、織り込み済だよ!
 
輸出企業も中小企業も苦労して頑張って対策しているから、お蔭様で日銀は悠長に対応できますって聞こえるんだけど・・、政府に言えってか?
 
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コメント

  1. オージー より:

    白川さんは本質的に円高論者なのでしょうね(他の日銀生え抜きのメンバーも同じ)。
    総理や財務相が一応(笑)牽制発言をするとそれにあわせるようにあたかも円高容認、誘導と思われるような余計な発言をしている感があり「何も今言うことないだろう」と思ってしまいます。
    所詮役人ですから国民無視で円高デフレがすきなのでしょう(日銀の天下り先の短資会社はデフレで利益がおおきくなりますし)。
    今のレベルで円高対策を邪魔するようならば日銀法改正も考えるべきかもしれません。
     
     
    各国でデフレ圧力があるなか、日本の輸出品の価格値上げは特に対先進国ではキビシイのではないでしょうか。

  2. 吊られた男 より:

    個人的には、日銀などの問題ではなく、こういう局面で困るような構造を温存しようとした長年の日本政府の無策の結果だと思います。
    日銀を擁護したくもありませんが、それでも世界的に最低水準の低金利+量的緩和政策を続けさせているということ自体が異様な気がします。
     
     
    政府は何かあればすぐに「日本はものづくり」なんて言葉で製造業を保護・延命する処置を取り続けました。
    短期的にはこれで製造業で働く労働者の雇用を守ったことになりますが、製造業は低賃金国との競争で不利になることは分かりきっていたことです。英米などが製造業からシフトしていった中でも、製造業にこだわり続けるという自然の摂理に逆らった延命措置が限界に来ているということではないでしょうか。私も一応は製造業に分類される企業に勤める身ですが、製造業への過保護は行き過ぎている気もします。
     
    この中長期的な政策の誤りこそが諸悪の根源で、ここで対症療法的に措置をしても何だかな・・・という気もします。
    長期的な政策の誤りをいきなり正せるはずもありませんので、暫定的には対症療法でダメージを和らげつつ変革を進めるべきなのでしょうが、日本にはその気概はなさそうです。
     
    または日銀が欧米に対応するように2007年時点と比べて政策金利を4%くらい下げてマイナス金利突入くらいの豪快な政策を展開できればいいのかもしれませんが、日本の中央銀行にこういう画期的な政策は無理ですね・・・

  3. 太助 より:

    オージーさん、
     リーマンショック前後に見せたようなFRBの機動的対応を白川さんや日銀に要求するのは無理ですね。
    欧州でも韓国製品が躍進しているようですが、過剰な機能を盛り込んだ高品質な日本製品を高価格で売っても今の景気では厳しそうですね。
      吊られた男さん、
     円高を日銀の問題だと思っていませんし、市場と対話できない総裁のコメントを取り上げただけです。
     >政府は何かあればすぐに「日本はものづくり」・・・製造業への過保護は行き過ぎている気もします。
    二段落目は私の認識とは全く異なるようです。(製造を金融に置き換えればほぼ納得なのですが・・)
    従って、おそらく噛み合わないのですが、私の意見を一応。
     日本を経済大国たらしめたのは輸出製造業だと思います。
    その分野だけが突出していたので、何故か世界2位の経済大国になってしまったと私は見ています。(裏を返せば、他の分野で世界トップクラスは少ない。)
    金融や建設に比べて過保護だったのかは知りませんが、国として強みを維持するのは必然と思われる。
    その強みを失うことは、即ち日本が普通の(現在よりも遥かに貧乏な)国になることを意味すると思います。
    新興国の追い上げと、Appleのような独創性・個性という面では極めて弱いことを含めて将来的な苦戦は予想されるが、日本は他に世界的な競争力を有していない。
    自然の摂理に逆らったのがどちらなのか、英米が製造業からシフトしていったことが正しかったか否かは未来が教えてくれると思います。(私の予想は後者)
    両国とも、国力の源泉だった金融が足を大きく引っ張っていることは事実だと思います。
    (オバマは今までの方向性が間違っていたと製造業回帰の方針。)
    日本が製造業の強さを過信し過ぎて、他の業を育成すること、製造業の中でも新陳代謝を行うことを怠ってきたことは事実だと思います。
    でも、日本が富を維持したいなら、国内市場の小ささを意識している韓国と同じように世界を相手にモノ(サービスでも可)を売っていくことは今後とも重要だと思います。

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