過激を訂正するのは結構ですが、このままでは公約違反も数えきれない程出てきそうで、選挙に通るためならどんなハッタリをかましても構わないのかと批判も巻き起こり、彼のヘイトスピーチに共感して投票した有権者からも支持を失いかねません。
安倍さんが真っ先にトランプに会いに行ったのは正しいアプローチですね。
こういう世界の中では世間知らずでアメリカ大好きのエモーショナルで公私混同のオヤジには、(個人的には好みませんが)まず手土産でも持って行って個人的な良好関係を作ることは重要でしょう。
市場は実行されそうな政策だけを織り込み、まだ見えずに定量化もできないマイナスの政策は取り敢えずスルーするしているようですが、トランプの公約そのものがある意味市場にとっても破壊的で当選を恐れていたことも事実だし、支持者の手前なにもかも撤回することもないでしょう。
特に彼のアメリカファーストで保護主義的な国益第一主義、米国は世界の警察もリーダーも務めないという基本姿勢は変わらないように思います。
日本に核を持てという発言は修正撤回しても、何故日中間の問題である尖閣アイランドとかいう小さな無人島を米軍が命を張って守らなければならないのか?
そんな日米安保同盟は破棄だとの考えを持っていたとしても、強めていったとしても驚きはない。
(本間の何十万円かのゴルフクラブなんていくらでも買える金持ちの彼でも、手土産持って祝福に行く行為は効くでしょう。こういうキャラに公私混同するなって無理だから[笑])
さて、トランプ大統領の登場によって世界のパワーバランスはどう変わっていくのでしょう?
前回書いたように、第二次大戦後と1989年(ベルリンの壁崩壊)に匹敵する大変化が起きかねないと思います。
選挙中は中国もヘイトスピーチの対象でしたが、人権・自由・平等を重んじないように見えオバマのように他国に押し付けることもしないだろうトランプは中国にとって好都合かも知れません。(人権説いても説得力ゼロだし!?)
同様にロシアも好都合でプーチン好きを公言しているトランプ相手なら米ロ大接近も考えられます。(米中が仲良くすることはないでしょう?)
これこそ、戦後の米ソ冷戦から1989年を経て2016年以降に米ロが手を取り合えば歴史的大転換点になります。
米大統領が最早西側の基本的な理念を共有していないので、ドイツを中心としたEUとは疎遠になっていくことも考えられます。
事実ヘイトスピーチの対象にされていたメルケルもトランプの当選に際し、明らかにトランプを非難し基本的な価値観を共有できないなら米国と協力しないとも受け取れる厳しい声明を出しました。
米英の親密さがどこまで崩れるかはわかりませんが、今年「まさか」を起こした両国は不思議なことに「EUから離れる」方向性は一致しそうです。
そうすると、日本も含めてG7やNATOの結束が崩れ制度自体が崩壊の方向に向かいかねません。
更に鍵を握るのは今年のもう一つの「まさか」であるフィリピンのドゥテルテ大統領!
当選後もオバマにヘイトスピーチを繰り返していましたが、トランプが当選すると俺に似てるからという理由でもう米国に喧嘩売らないと態度を変えました。(笑)
ここに不思議な「まさか」の一致があるように思います。
フィリピンから米軍は出ていけと吠えていたドゥテルテは米比同盟を重んじないように見え、性格も考え方もトランプと合います。
トランプは喜んで出ていくことで簡単に合意して米比同盟も解消の方向に向かうかも知れません。
(公私混同の2人だから、個人的な良好関係で同盟強化に向かう可能性もあるが)
更には反米により中ロにも気に入られて関係強化の方向でしたが、トランプ登場によりフィリピンのドゥテルテが親米・親ロとなり、米ロに接近するキーマンかも知れません。
親米・親ロと言えば、アジアにもう1つありますね!?
日本は国や国民として親ロではないが、安倍総理とプーチンの個人的関係は良好であり、北方領土問題もあってロシアに制裁は加えにくい立場でした。
不思議なことに、日比は中国との間に燻ぶり続ける領土問題を抱えていることも一致して、軍事面においても米国との関係は重要です。
つまり、軍事における米比同盟が友好的に縮小や解消に向かい米軍がフィリピンから出ていけば、トランプは日本に対しても同じ対応を迫りやすくなります。
安倍総理は日米安保堅持の立場でその為にもトランプ詣でに行った訳ですが、彼も強烈な右曲がりのダンディーであることを忘れてはなりません。
米国から日米安保縮小を迫られれば、悲願の自衛隊を日本軍に格上げする口実が出来ます。
米国がもう守らないから自国で守るしかないが、その為には「専守防衛」では不充分というロジック。
(その是非は別にして、相手から一発でも攻撃あるまで手を出せないなら、それこそ自衛隊員に最初の犠牲者を求めていることになる。)
不思議なことに世界のパワーバランスを変える役者は地球上に揃っている。(リーダーは右曲がりのダンディーばっかし!?)
「まさか」ではなく「必然」なのだとしたら、2016年は間違いなく第二次大戦後の世界第三章のプロローグとなるのでしょう。
パワーバランスの変化により、浮かび上がる国の一番手と見えるのがロシアであり、第一章では米国と並ぶ世界の主役であったが、第二章では転落・縮小・後退の脇役となり代わりに米国と並び主役級になったのが中国。(日本も第二章は転落・後退組!)
第三章のプロローグはトランプ・プーチンの接近により米ロ蜜月の時代が訪れるのでしょうか?
いわゆる旧西側は英EU離脱も手伝い、絶対に合いそうにないトランプ・メルケル疎遠から団結が失われ、そこから体制がガラガラと音を立てて崩れかねません。
さて、何故かドイツから好かれない日本は旧西側からは離脱気味に米ロとの関係を深めつつ、軍事面では日米安保を縮小(解消)して国家として自立の道に進むのでしょうか?
伏兵としてトリガーを引き鍵を握るのは新興国フィリピンのドゥテルテ大統領かも知れません。
米国は世界の警察をもうやらないとのトランプ主張は尤もです。そんな義務はない。
しかしながら、第二次大戦後から長らく米国の都合の良いルールで世界を仕切っておきながら、俺が就任したから即刻止めると言われても世界には代案がなく時間を掛けてソフトランディングさせなければならない。(日米安保しかり)
是非は別にして、ドゥテルテは人権を必ずしも重んじず「毒を以って毒を制す」で成果を挙げ大統領まで上り詰めました。
トランプも混乱は避けられないが歪んだ(というより米国が都合よく歪めてきた)世界を正しい方向に戻すために必要な「毒」なのかも知れません。
お上品な自由・民主・平等・人権重視では解決できない(=結果人権が侵害される)ことが今の世界には多過ぎるのかも知れません。
ハートのエースは出て来ないし新たな毒も世界に巻いてしまうでしょうが、そういう意味ではトランプ大統領も寵愛を受けてはいないが「まさか」の“選ばれし者”なのかも知れません。
トランプはメキシコとの国境に(一部フェンスだけど!?)ウォールを築くと公約しましたが、世界にとってトランプは戦後に築かれた様々なウォールを破壊する側として時代の主役になることは間違いないでしょう。
戦後世界の第三章が始まるのだとしたら、第二章までの枠組みを破壊することが最初の「必然」的なプロセスであり、数々の問題はあってもそれを実行出来る大統領や英EU離脱が「まさか」で世界に必要とされたのかも知れませんね!?

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