外国税額控除調整制度による分配有無の有利不利シミュレーション例(三菱UFJ国際投信)

ETFや投信(の中で条件を満たす商品)に外国税額控除が自動調整で適用されるようになり、分配金を再投資せずに受け取りたい場合は確実に有利になりました。
また、これまでは再投資で運用したい場合には思考停止で無分配を選択し課税を繰り延べて運用することが有利でしたが、今後は分配金を受け取ることで外国税額控除が行われるので分配金再投資が必ずしも不利とは言えなくなります。
 
では、どちらが有利になるかは前提の置き方や運用期間によっても結果は変わってきます。
三菱UFJ国際投信が行ったシミュレーションがあるので参考にしてみましょう。(↓PDF)
https://www.am.mufg.jp/text/meeting3_191018.pdf
運用会社なのでファンドへの影響という観点ですが、投資家にとっての有利不利を判断する観点と同じです。
 
●前提条件
・100%米国株式で構成されるファンドに5年間投資(為替変動なし)
・年3%の配当を米国株式からファンドが受け取る(外国税額10%)
・投資額拠出は初年度のみで追加投資なし、分配金は国内課税後再投資
という条件で、【分配型】【無分配型】の最終年における税引き後リターン比較
 
<キャピタルゲイン0%の場合>
【分配型 】12.58%
【無分配型】11.35%
なので、分配されて外国税額控除適用後に再投資した方が有利!
 
<キャピタルゲイン4%の場合>
【分配型 】31.23%
【無分配型】30.52%
なので、分配されて外国税額控除適用後に再投資した方が有利!
 
キャピタルゲインがあってもなくても【分配型】のが有利なら【無分配型】なんて最早用なし・・ということにはなりません。
これはあくまで投資期間5年における比較。
 
キャピタルゲイン4%の場合で運用期間を延ばして税引き後リターンのシミュレーションを行うと勝敗は変わってきます。
運用期間8年までは【分配型】の勝利!
運用期間9年以降は【無分配型】の勝利!
 
また、前提条件の設定の仕方やリターン率を変えれば結果も違って来るでしょう。
年間のキャピタルゲイン4%でインカムゲイン3%の架空ファンドは決して標準でもないでしょう。
更には分配金の国内課税は20.315%としていますが総合課税を選択したり優遇制度(?)を利用することで低く抑えられる人も多い筈で、この課税率を低く設定すれば【分配型】の有利さが増すので個人によってもファンドによってもケースバイケース。
 
比較的長期では【無分配型】、比較的短期では【分配型】が有利になるとは言えそうです。
リターンを最初に想定できないのにどう選択するって問題はあるのですが、課税されても分配を受けて外国税額控除を受ける有利・不利の大まかなイメージで商品選択のご参考まで。
 
実際にはこの制度変更により従来無分配だった投信が分配を始めるとか、(やればいいのに)「外国税額控除用分配型コース」を設定することもないでしょうから、外国税額控除の自動調整が確実に適用される商品に乗り換えるという選択肢になるのでしょうね。
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